プーチン大統領の広報担当のドミトリー・ペスコフは記者団に対し、1月のバイデンの大統領就任は米ロ関係に「なんのプラスにもならない」と述べた。
この思いはロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官も同様で、インタファクス通信のインタビューで彼は「良いことは何も期待していない」と述べ、「バイデンと彼のチームはルソフォビア(Russophobia、ロシア嫌悪)でキャリアを積んできた」と主張した。
プーチン大統領は、トランプが選挙での敗北を認めない状況下で、各国のリーダーのなかで最も遅くまでバイデンの勝利を認めない一人となった。プーチンは、今月初めの選挙人投票の結果を受けてようやく、バイデン次期大統領に「協力し、コンタクトを維持する準備ができている」と伝え、「互いの尊重」を呼びかけた。
リャブコフ外務次官は、バイデンが大統領に就任すれば、米ロ関係は「悪い方からさらに悪い方へ」進むと予測した。彼によると、トランプ政権も「関係の正常化に関心がなかった」が、バイデン次期大統領は「さらなる関係悪化のリスク」をもたらし、「警戒すべき、危険な瞬間」が訪れるかもしれないという。
今回のロシア高官らの発言は、米国の政府機関や企業が大規模なサイバー攻撃で動揺するなかで行われた。ペンタゴンや国家核安全保障局などが標的となった攻撃の背後には、ロシアがいると米国の政府幹部は指摘した。
トランプはこの攻撃についてほぼ沈黙しており、一度だけ、被害はさほど深刻ではないと述べた。彼は、中国が背後にいたかもしれないと推測し、彼が根拠もなく主張する大統領選での不正行為と結びつけようとした。
「我々に敵対する者たちは知っておくべきだ。私は大統領として、この国に危害を及ぼすサイバー攻撃に黙っていない」とバイデンは述べ、サイバーセキュリティを「政府のあらゆるレベルで最優先事項にする」と誓った。
ロシアの「サイバースパイ対策」を強化
米国家防諜安全保障センター(NCSC)のウィリアム・エバニナ所長は8月に、「ロシアは2020年の米大統領選で、バイデン前副大統領を誹謗中傷することを主な目的として、様々な手段を講じている」と述べていた。
バイデンは7月に、米国の選挙に干渉する「国家の加害者」らに「実質的かつ永続的なコスト」を課すことを誓っていた。報復には、金融セクターへの制裁や資産の凍結、サイバー攻撃に対する報復、汚職の暴露などが含まれるとされた。
ロイターの12月20日の報道によると、バイデンのチームは今回の攻撃を受けて、ロシアへの厳しい制裁や、「サイバースパイ対策の強化」を検討中だという。