11月の大統領選挙と同時に行われた住民投票の結果、新たに4州が大麻を合法化した。その結果、合法的に大麻を吸引できる州が15州に拡大した今、「大麻は決して過激なものではない」とマッキーは話す。
ホールフーズはこれまで連邦政府からの取り締まりを恐れて、大麻オイルのCBD製品の取り扱いを躊躇してきたが、今では常に品切れに直面している状況だ。「店を訪れて、売り場の社員に何がホットかを聞くと、CBDとコラーゲンだという答えが返ってくる」
マッキーは、大麻業界が今、起業家フェーズを抜け出し、大手企業が注力する分野に変貌しつつあると説明する。「起業家の時代が終わるまでに残された時間は、あと10年から15年程度だ。その後はもっと専門的なビジネスへと移行する」
起業家のフェーズが終われば、資本力のある企業との競争が激化するため、ゼロから会社を立ち上げるのは難しくなると、マッキーは指摘する。彼は今後、アルコールやタバコ分野の大手が業界に本格参入してくると予測する。マールボロのメーカーであるアルトリアとコロナビールで知られるコンステレーション・ブランズは、すでに大麻業界に巨額の投資を行っている。
「大麻産業が世界を変えようとしていることは、疑いようがない。10年後には今とは全く異なる状況になるだろう」
マッキーは、現在の大麻業界の状況を、ホールフーズを創業した時の自然食品業界の状況に例えている。1978年、テキサス州オースティンで、大学を中退したマッキーは、当時のガールフレンドと共に家族や友人から4万5000ドルを借りてSaferWayという自然食品店を立ち上げた。その2年後に、彼らは最初のホールフーズをオープンした。
2017年までに、ホールフーズは米国最大のオーガニック食料品チェーンに成長し、アマゾンは同社を130億ドル(約1兆3400億円)以上で買収した。
大麻業界も自然食品業界と同様に、小売ベースの市場から「商品主体の業界」へと進化していくだろうと、マッキーは話す。1980年代初頭には、顧客がオーガニックの農産物を欲しければ、自然食品店を探さなければならなかった。今では、ウォルマートやアマゾンがオーガニック食品を販売している。
「現状では大麻を販売できるのは、一部のライセンスを取得した店のみだ。しかし、最終的に大麻はもっとメインストリームの店で販売されるようになる」
マッキーは、この分野の起業家たちにブランドを創ることを薦めている。「カテゴリを作り、そのカテゴリを支配し、カテゴリーキングになれば、投資家に多くの価値をもたらし、すべてのステークホルダーに多くの価値をもたらすことができる」
マッキーによると、オーガニック食品分野で、カテゴリーを再発明したブランドの最良の例が、植物ベースの代替肉のビヨンドミート(Beyond Meat)だという。
彼は、新たに出版した著書「Conscious Leadership: Elevating Humanity Through Business」(ペンギンランダムハウス)の中で、ホールフーズの経営戦略について述べている。
「オーガニック食品分野では、家族経営の小規模な店が未来を切り開く時代は終わってしまった。けれど、大麻業界にはまだ、新たなポテンシャルが残されている」とマッキーは話した。