ビル・ゲイツ(Getty Images)

「今年は破滅的な年だった」。ビル・ゲイツは22日、自身のブログの2020年を締めくくる投稿を、言わずもがなのそんな一文で書き始めている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは世界全体で160万人の命を奪い、7300万人をウイルスに感染させ、途方もない規模の経済損失をもたらした。

米国ではジョージ・フロイドやブリオナ・テイラーの殺害事件があり、山火事が猛威をふるい、「ほかに例を見ない大統領選挙」になり、国中が激変に見舞われた。

だが、ゲイツは読者をこう鼓舞する。「2021年には明るいニュースが届く」。ゲイツは、新型コロナワクチンの開発と供給で科学がめざましい進歩を遂げていることにふれ、「人類が1年で病気に関してこれほどの進歩を遂げたことはかつてなかった」とたたえる。ワクチン開発には10年かかることもあるが、科学者たちは今年、1年足らずで複数の新型コロナワクチンの開発にこぎつけた。

モデルナとファイザー・ビオンテック連合がそれぞれ開発し、食品医薬品局(FDA)が緊急使用を許可したワクチンは、来年春には「世界的な影響をおよぼす」ほど普及するとゲイツは予想する。その結果、富裕国では死者数や感染者数が減り、「生活は今よりずっと正常な状態に近づくだろう」

新型コロナワクチンをめぐっては、世界全体に十分な量をどう確保するかが課題になる。世界では、必要な投与回数が1回か2回かに応じて50億〜100億回分が必要になるとみられているが、現状では、インフルエンザや子ども向けの予防接種分など、各種ワクチンの年間生産量は世界全体で60億回分ほどとなっている。

ゲイツはこの点に関して、ほかのワクチンを犠牲にすることなく新型コロナワクチンの生産を増強できるように、自身の財団が、富裕国のワクチン開発企業と、発展途上国の大規模生産企業を結びつける取り組みを進めていることを紹介している。前者が有効なワクチンを開発し、後者が安全で安価なワクチンを大量に生産することで、互いの強みを最大限に生かしてワクチンを世界に普及させるねらいだ。

ゲイツはまた、鼻の奥に綿棒を入れて粘膜をする「不快な」鼻咽頭ぬぐいによる新型コロナ検査は、まもなく過去のものになりそうだとも書いている。FDAが今月、家庭用検査キットを初めて承認したからだ。このキットでも鼻の中をぬぐうが、奥まで差し込まずにすむ。検査機関に検体を送って検査結果を待つ必要がないため、ゲイツはこれまでよりも優れた、効率的な検査方法のひとつだと評価している。

ゲイツは投稿の最後に、科学にとってまた別の、だが重要な課題である気候変動に言及している。ゲイツはこのテーマを扱った新著を来年2月に出すことにふれつつ、バイデン次期政権のもとで「米国は来年、世界の温室効果ガス排出の削減で再び主導的な役割を担うことになりそうだ」と期待を示している。

ゲイツは「向こう1年には明るい展望をもっている」とつづり、2021年は2020年と比べて、非常に大きくはなくても「はっきり感じとれる改善」がみられるだろうと結んでいる。

編集=江戸伸禎

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