ハリー・ポッターを例に取ると、ハリーの両親が凶悪な魔法使いに殺されなければ、物語はそもそも始まらなかっただろう。ハリーがこの邪悪な魔法使いにしつこく狙われなければ、シリーズ化もしなかったはずだ。書籍でも映画の中でも、次から次へと降りかかる問題がハリーの成長を促している。
ハリーは、秘密の入り口を守る巨大な三頭犬などを打ち負かすたびに何かを学ぶ。困難を克服することで成長し、よりタフで大きな存在となり、賢くなっていく。全ての困難は、キャラクターとしてのハリー・ポッターの成長に欠かせないものなのだ。
アイアンマンがたどる道もこれと似ている。自己中心的で嫌なやつだったトニー・スタークが、死の淵に立たされて新技術を開発する必要に迫られなければ、アイアンマンは誕生しなかった。またジェームズ・ボンドは、孤児にならなければ超人的なスパイにはならなかった。
ハリウッド映画の脚本家にとって苦難とは、主人公をいっそう面白く、勇敢にする要素だ。あなたも、自分の苦難をこれと同じようにとらえてほしい。
ハリウッド映画の脚本家になったつもりで、目の前の問題がどうヒーローの成長につながるかを考えよう。主人公の成長過程を思い描くのだ。少し不完全なスタートから、困難を乗り越えて最終的に人間として成長し、より賢くなった姿を想像する。
素晴らしい物語には必ず、何らかの困難(あるいは多くの困難)を克服する主人公がいる。自分がその物語の中心となるヒーローだと想像してみよう。どんな困難に直面しようと、それが自分の果敢な旅路に不可欠なステップだとみなすことで、上を向き続け、行く手に何が待ち受けて以降と前進し続けることがずっと楽になる。