三浦春馬さん最後の主演映画「天外者」で広がるグリーフワークの輪

©︎2020「五代友厚」製作委員会



ファンサイトやSNSで交流


ファンは引き続き、「天外者を見よう」「映画レビューサイトに書き込みを」と呼びかけています。「天外者を春馬君の代表作に」というツイッターアカウントや、春馬さんの著書「日本製」を広めるサイト、ファンのグループが作られ、SNS上での交流も盛んです。

あるユーチューバーが春馬さんの情報を紹介していたところ、著作権を侵害したとして動画を削除されたそうです。その後、視聴者から手描きの春馬さんのイラストやメッセージが寄せられるようになりました。イラストは写真や動画の代わりに紹介され、それぞれのファンの気持ちを表現し、共感しあう場になっているのではないかと思います。

喪失体験の悲しみと向き合っていく


このようにファンが行動し、仲間と気持ちをシェアすることが、春馬さんとの別れという喪失体験の悲しみと向き合う、「グリーフワーク」になっているように思います。筆者は、ファンの皆さんの悲しみと、春馬さんを応援しようという行動に共感し、心のサポートのヒントをお伝えできたらと、この記事を書いています。

医療・福祉の取材をしてきた中で、同じ課題を持つ仲間同士の支え合いである「ピアサポート」や、「グリーフワーク」の重要性を感じています。離別・失業・失恋・引っ越し・虐待を受けるなど、大切なものの喪失体験をした時、悲しみだけでなく、衝撃・否認・怒り・後悔・愛しさ等、様々な感情が起こります。そうした感情をグリーフといいます。
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文=なかのかおり

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