ビジネス

2020.12.31

プラごみ問題、リサイクルだけでは解決できない理由

Sally Anscombe / by Getty Images


プラ容器を大量に生産している企業(コカ・コーラやコルゲート・パーモリーブ、ダノンなど)は、業界団体、さらには偽の環境団体を利用して、プラごみ問題に取り組もうとする国の立法を攻撃し、遅らせているという。

チェンジング・マーケッツによれば、こうした企業はさらに、ボトルの返却を促す制度などの導入を阻止し、主な批判の矛先を公共の場にごみを捨てる消費者に向けさせるなどの戦術を使っている。

有効な対策は─?


こうした状況のなかで、問題を解決する方法はあるのだろうか。「業界による自主的な取り組みや約束には効果がない」とするチェンジング・マーケッツが提案するのは、「デポジット制度」の導入だ。

消費者は使い捨ての容器に入った商品を購入するときに小額の手数料を支払い、リサイクルまたは再利用のために容器を返却すると、返金を受けることができる。

この制度はすでに欧州の多くの国が導入しており、ドイツでは返却率が98%にのぼっている。そのほかカナダやオーストラリア、米国内の一部の州も、この制度を取り入れている。大きく遅れを取っている英国では、一部の国会議員らが今年7月に動議を提出。2023年の制度の導入を目指している。

ただ、チェンジング・マーケッツが政策以上に重要なことだと指摘するのは、企業が持続可能性に関してより野心的な取り組みを開始することだ。各社はプラ製品の生産量を明確に示す「プラスチック・フットプリント」を公開するべきだという。

一方、アランはこの問題について、まずはシステムを再評価し「拒絶、削減、再利用、リサイクル」からなる廃棄物ヒエラルキー(優先順位)を取り入れることが必要だと述べている。

「安価で容易な選択肢がほかにないなら、プラ製品を拒絶するのは困難だ。同じ理由で、その生産量を削減することも難しい。再利用が実行可能なのは、ある程度までだ」

「これほど大量のプラ製品が使われるのはなぜか、その理由について熟慮することなく、この問題に対処することはできない」

編集=木内涼子

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