レストランや映画館、スポーツ施設は閉鎖され、多くの人は体を鍛えることを心に決めた。ジムも閉鎖されたことから、専門家による指導やゲーミフィケーション(ゲームをデザインする手法をゲーム以外の分野に活用すること)の選択肢を求めていた人にはウエアラブル機器とフィットネスアプリが理想的な解決策となった。
以前はフィットネスマニアだけのものだった技術が、いきなり爆発的な人気を得たのだ。
英携帯電話事業大手EEによると、ランニングアプリのストラバ(Strava)の使用は英国で3倍になり、機器の接続ができるペロトン(Peloton)の自転車型トレーニング機器やランニングマシンには長い待ち時間が生じた。任天堂のビデオゲーム「リングフィットアドベンチャー」などのより気楽な選択肢でさえ入手が困難になり、英国民医療制度(NHS)に支持されたランニングアプリ「カウチ・トゥー・5K」は100万人以上がダウンロードした。
スポーツ分野のプロも参加の動き
アマチュアだけではない。プロのアスリートも鍛えられた体を維持しスキルを磨く上で、技術に頼るようになった。スタットスポーツ(STATSports)のエイペックス・アスリート・シリーズ(Apex Athlete Series)GPSトラッカーを使用してサッカーをしている人は、英サッカーチームのアーセナルに所属するエクトル・ベジェリンとキーラン・ティアニーがリーダーボードに表示されているのを見て驚いたはずだ。
新型コロナウイルスに有効なワクチンの兆しが見えてくると株価に一部影響は出たが、アプリや機器などを使って行うコネクテッドフィットネスの需要が鈍化している兆候はなさそうだ。むしろパンデミックにより関心が高まり、こうした習慣が定着したと言える。
米調査会社のインターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)の今年9月末時点の発表によると、ウエアラブル端末市場は2020年、14.5%の成長が見込まれていた。今後5年にわたる成長率は12.4%になることが予想されている。アナリストらは、こうした端末に付随して生じるエコシステムの創造が大きなトレンドの一つだと指摘している。
例えばアップルはアップルウオッチのフィットネス機能を強化し、今年は「Fitness+(フィットネスプラス)」と呼ばれる定額サービスを導入した。同サービスでは、没入型のエクササイズ体験や厳選されたプレイリスト、スタジオでの運動クラスが提供されている。