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2020.12.26

コロナ禍でもウエディングドレスの売り上げ倍増 豪企業の成功話

Mint Images / by Getty Images


それから間もなくして、同ブランドは世界中で有名になった。フランスのレースとシフォンを使った伝統にとらわれない同社のドレス「Hollie(ホーリー)」が、ピンタレストで史上最多のピンを獲得したウエディングドレスになったのだ。

その後は需要が急伸し、グレース・ラブズ・レースはニューヨーク、シカゴ、ダラス、サンディエゴ、シアトル、ロンドン、シドニー、メルボルン、パースに追加で9つのショールームを開設した。

同社の成長は目覚ましく、2013年からはメーガンの夫のウェイド・ジームズが弁護士の仕事を辞め、最高経営責任者(CEO)を務めている。

ウェイドは「私は商業訴訟を扱っていたため、他の人の経験を通し、多くのことが間違った方向に進んでしまいかねないことを目にしてきた」と述べた。ウェイドはメガンを「創造的」、自分は「慎重なアプローチ」と説明し、このバランスが成功に必要不可欠だったと語った。

パンデミックでは持続可能性にも注目が


グレース・ラブズ・レースの持続可能性も成功の大きな要素となってきた。パンデミックにより、人々が持続可能性を一番に考えるようになったことが大きい。

「新型コロナウイルス感染症により、人々は非常に多くのウエディングドレスが中国で作られていることに気づかされた」とメガン。「多くの花嫁は、ウエディングドレスの注文時にこうしたことを質問しない。そのため初めの頃は中国で製造が延期され、多くの花嫁がドレスを受け取れなかった」

グレース・ラブズ・レースにとってはもちろん、この状況は実は幸運なものだった。同社のウエディングドレスは社内で受注生産されていて、クリック1つでオンライン相談を予約できた同社は競合企業が提供できないものを全て備えていた。これは、花嫁と事業の両方にとって救いとなった。

ウェイドは「当社のビジネスモデルはこれ以上ないほどよい」と語る。「顧客は事前に全額支払った上で購入するため、当社はキャッシュフローがとても好ましい事業だ。現金投資は今まで必要なかった」

同社は事業の急成長を利用すべく、ブランド史上最も持続可能なコレクション「Grace mini(グレース・ミニ)」を発売した。このコレクションは、ウエディングドレスの端切れを使って2〜7歳の女の子のための着心地が良い豪華なドレスに仕立てたものだ。

ミニのコレクションからは廃棄が全く発生せず、同社の全コレクションと同様に大量生産されていない。

「ウエディング業界は調達方法について透明性に欠けている。私はそれを変えたい」とメガン。「正直なところ、ぜひウエディングドレス界を乗っ取りたいと思っている。今の当社にはその力があると思う」

翻訳・編集=出田静

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