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2021.01.03

動物用新型コロナワクチンは、毛皮産業の将来にどう影響するか

Spencer Platt / by Getty Images


欧州では、フランス、アイルランド、オランダ、デンマークにおいて、ミンクでの流行を封じ込めて人間への感染を食い止めるために、ミンクの殺処分が実施されている。ミンクにおける流行は、カナダとポーランドでも報告されている。そうした流行に対するデンマークの反応は特に極端なものだったが、別の地域の養殖業者も懸念を抱いている。

デンマークでは、ワクチン開発の努力を無にするおそれがある新型コロナウイルスの変異種が発見され、首相が1700万頭にのぼる国内のミンク全頭の殺処分を命じた。デンマークにおけるミンクの大半が殺処分され、危険な変異種は駆逐されたと科学者たちは考えているものの、殺処分を命じる法的権限が国になかったと政府が認めたことを受け、農業担当相が辞任する事態になった。不幸なことに、殺処分されたデンマークのミンクの多くは、埋められた地面から腐敗によって押し出され、地域の水源を脅かしている。

ミンク用ワクチン開発のニュースは、毛皮業界から歓迎される可能性が高い。毛皮業界は、新型コロナウイルス感染症の流行で動揺している。ミンクの二大生産国であるオランダとデンマークは、おそらくは恒久的にミンク産業から離脱する公算が高くなっている。一方、欧州での殺処分により、すでに主要な生産国である中国への依存がいっそう大きくなる可能性もある。中国のミンクがパンデミックによってどのような影響を受けているかについては、現在のところよくわかっていない。

動物の権利を訴える活動家は、実のところミンクの殺処分を歓迎している。残酷で不要な産業が終わりを迎える前触れだと考えているからだ。世界最大級の毛皮オークションハウス「コペンハーゲン・ファー」は、ミンクの殺処分を受けて事業の閉鎖を発表した。

動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」はこのニュースについて、「バーチャルでシャンパンのコルクを抜いて」歓迎した。「毛皮業界が確実に、適切に息絶えた」ことを告げるものととらえてのことだ。

動物福祉団体の「ヒューメイン・ソサエティ・インターナショナル(HSI)」も同様の反応を示し、各国政府に対して、より人道的な取り組みを進める毛皮養殖農家の支援に力を注ぐことを求めた。

HISはこう述べている。「毛皮のために搾取されている、毎年6000万頭にのぼるミンクたちにとっては、ハッピーエンドなどありえない。だが、養殖の完全な停止は、動物たちが今後、気まぐれなファッションの流行のために苦しまないようにするための最善の道だ」

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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