世界の4分の1、再来年までにコロナワクチン接種できない可能性

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また、COVAXかどうかにかかわらず供給には既に問題がある。

研究の著者らの説明によると、48のワクチン候補が全てうまく提供されるようになれば、2021年末までに全59億6000万コースのワクチンが生産できると予想されている。しかし、いまだに臨床試験段階にある一部のワクチンは有効なワクチンとならず、市場に導入されないはずなので、これはあくまで仮の話だ。

全てのワクチン製造業者が最大の製造能力を達成したとしても、世界人口の25%近くは2022年以降までワクチンを入手できないだろう。

米デューク大学のグローバル・ヘルス・イノベーション・センターは「現在のモデルからは、2023年か2024年まで世界の人口を網羅するのに十分なワクチンが生産できないことが予想される」と述べた。

国際非政府組織(NGO)オックスファムのアナ・マリオット医療政策部長もこれと同意見だ。マリオットは国際人権団体アムネスティ・インターナショナルに対し「何かが劇的に変化しない限り、世界の数十億人は今後数年間、安全で有効な新型コロナウイルスワクチンを受け取れないだろう」と述べている。

こうしたデータはどれも完全なものではなく、多くがまだ不明確であることを指摘しておく必要があるが、全ての要素を考慮した場合、世界規模で平等な新型コロナウイルスワクチンのプログラムを実現するには大きな課題がある。

しかしWHOは「これほど感染力が強いウイルスが流行し、グローバル化が進んだ世界では、全ての国が保護されるまでパンデミックの影響を逃れられる国はないだろう」と述べている。多くの専門家は、これを実現するには高所得国が協力して取り組む必要があると論じている。

エール大学公衆衛生大学院のジェーソン・シュウォーツ助教はBMJに掲載された論説で、世界が新型コロナウイルスワクチンを平等に入手できるようになるには「前例のない規模の世界的協調と、高所得国からの経済、物流、技術面での持続的なリソースの提供」が必要になるだろうと語った。

政治家は利他的な人として考えられていないが、英医学誌ランセットに先日掲載された論文によると、ウイルスを封じ込めるには人口の60〜72%が免疫力を付ける必要がある。裕福な国が支援の手を差し伸べる上で、この事実が十分な動機となるのではないだろうか?

翻訳・編集=出田静

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