世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

福井銀行頭取 林正博(左)、日華化学代表取締役社長 江守康昌

新型コロナウイルスによる経済的、社会的な影響が広がる中、都心部だけでなく地方も大きな課題を突きつけられている。一方で、リモートワークの推進に代表される、デジタルトランスフォーメーション(DX)による効率化など今回の危機がニューノーマルを加速させる好機として地域活性化の新しい可能性も見えている。

地域を活性化させるために、DXが果たす役割とは?地元の大手企業と、地域を支える金融機関のトップが、地域のポテンシャルについて語る。

今回は福井県。株式会社 福井銀行 頭取の林正博と日華化学株式会社代表取締役社長の江守康昌をゲストに迎え、福井県の地域活性化とDXについて語ってもらった。

「粘り強さ、堅実さ、そして勤勉さ」が福井県の強み


都道府県・幸福度ランキングで常に上位にランキングされる福井県。2020年度は4位、2019年は3位、2018年には1位となっている。その背景には雇用の安定、教育レベルの高さ、世帯収入の高さ、治安の良さなどがあげられる。人口は約78万人と少ないが地場産業が強く、基幹産業は明治の初めから繊維である。近年ではメガネの生産地としても名高く、鯖江市はメガネフレームの国内シェア96%を誇る。

そんな福井の面白いところは、イノベーションが起きやすい土壌である点だと林は語る。主力の繊維産業では、不況や危機に何度晒されても、その都度乗り越え今に至っているという。

「最初は絹から人絹へ、そして合成繊維。今では他に真似できないもの、カーシートやスポーツ医療、人工血管なども繊維産業です。壁にぶつかった際、他の産業に行くのではなく、技術力やノウハウを生かして次の展開でも生き残るのが特徴で、全く違う分野に行くより今のある分野で技術力を高め、競争力をつけるところが強みになっています。粘り強さ、堅実さ、そして勤勉さといった県民資質ですね」


福井銀行 頭取 林 正博

江守も「オープンイノベーションの一つとして、事業の横展開が起きやすい土地柄」と指摘する。

「事業が飛地に飛ぶのではなく、現在の技術から横に染み出していって開発が進むんです。繊維の会社がカーボンファイバーや人工血管を作ったり、メガネの加工会社が医療機器に展開したりするなど、染み出しながら開発していく。染み出しつつも、得意な技術は中心にドンと持っている、という感じでしょうか」

福井県には「組み合わせのうまさ」も特徴で、その背景は2つあるという。

・繊維もメガネも、工程数がとても多く、分業で何社も関わるため、他社との協力に抵抗がないこと

・人と人、企業と企業が非常に近く、企業、自治体、大学、銀行間などですぐにコラボレーションができることも強みだと林は語る。

「DXは東京一極化を崩していくツールになる」


福井銀行、日華化学両方に共通して言えるのが、コロナ前からの一早いDXへの取り組みだ。福井銀行では2〜3年前からテレワークを試行的に実施。一方、日華化学は1〜2月に東京支店でリモートワークをスタートし、3月には本社がロックダウンしたことにより、全社内で7割近くが一時期リモートワークになっていたという。双方ともに働き方改革、意識改革に取り組んでいた中、コロナ自粛によりDX化が加速した。

また、セールスフォース・ドットコムの営業支援システム「SFA」を導入し、若手担当者への『営業ノウハウ継承』の円滑化を推進し、経営、営業、人材育成の観点でのDX化を進めている。

「営業の効率、勘所や、カスタマータッチタイム(顧客との時間)などが“見える化”できるようになった結果、DX、人材育成という面で時間が短縮でき、組織改革になったかなと。時間と距離を一気に進められたと思います」(江守)


日華化学 代表取締役社長 江守康昌

「今回のイベントもそうですが、リモート会議といったDX化を地方の福井県がどう生かしていくか。若い子たちは大学を卒業すると東京へ行ってしまうけれど、暮らしやすさなら福井。東京一極集中を崩していくツールになると期待しています。アフターコロナを見据えて、DXをどう使っていくのかが大事なことだと」(林)

異業種との組み合わせでイノベーションを生んできた福井県の強みが、DXにより地理的概念が無くなることで、大きくトランスフォーメーションするチャンスが来ていると江守は指摘する。

「福井には日本の古き良き、プリミティブな心が残っている」


今回のコロナ禍を乗り越えた先に、福井県はテクノロジー先進県としてどのように飛躍していくのか。林は、「福井が新しいモデルを先頭に立って作っていければいい」と語る。

「非常に堅実で勤勉で冒険はしないけれど自分の強みをしっかり持って次世代に、繋いできたのが福井県。ここにDXをどう取り入れていくのかは重要なことだと思います。そこに銀行としてしっかり支援していきたい」

江守は、地元で活躍する人材をより増やしていくことで活性化に繋がると考える。

「福井は教育がいいと言われるその背景には、親が共働きで祖父母が子供の面倒を見ている。その中には、『手を合わせてありがとうと言いましょう』といった、プリミティブ、基本的な日本の心を伝えているところもあるのではないかと思います。素晴らしい土壌で育まれた人材がどんどん育って、もちろん東京で頑張るのもありだけれど、福井でも頑張っていただきたい。DXを使えば差はなくなっていきます。通勤ラッシュがない、オフィス広々、空気もきれい。素晴らしい福井県が今後、日本、世界の役割を担う部分が大きくなると確信しています」
 
▶イベント動画の視聴はこちら


林 正博
株式会社 福井銀行 頭取
福井県越前市生まれ 1981年大阪大学卒業後福井銀行入行
2003年 経営管理グループ法務室長
2008年 取締役、2015年6月より現職

江守 康昌
日華化学株式会社 代表取締役社長
福井県福井市生まれ 慶應義塾大学卒業後現三菱ケミカル株式会社を経て
89年日華化学株式会社に入社、2001年より現職
福井経済同友会の代表幹事を務める


▶︎日華化学:お客様の課題を解決できる ベテランの営業プロセスを標準化し 全担当者が実践できる体制を整備

Promoted by セールスフォース・ドットコム│文=石澤理香子│写真=福岡諒嗣(Gekko)

あなたにおすすめ