ビジネス

2020.12.29

日本と中国がチームでゲームを開発、「桜花スタジオ」の新たな挑戦

ネットイースゲームズが今年6月に新設した「桜花スタジオ」


赤塚氏とともに、広州の桜花スタジオでプロジェクトに取り組むのが、同じくバンダイナムコで経験を積んだ小澤氏だ。小澤氏は、2015年にバンダイナムコエンターテインメントにプロデューサーとして入社し、2018年より上海支社に出向、中国現地の開発メーカーとの協業経験をもつ。

NetEase Gamesへ転職したのは2020年1月のこと。中国に渡りまだ日の浅い小澤氏だが、なぜまたこの新しい環境に飛び込んだのだろうか?



「2年前、ますますビジネスがグローバル化するなかで、急成長を遂げている中国のゲーム市場を知りたいと思い中国に来ましたが、やはりどこかで深くゲームづくりに参画できない壁というか、歯がゆさを経験していました。そんなときに内外の垣根なく、中国と日本が1つのチームとしてゲーム開発ができるというこの話を聞き、まさに自分の求めていた環境だと感じました」

そして、その直感は正解だったと小澤氏は続ける。

「中国のゲーム市場はまだまだこれからで、新たなチャネルの創出や市場拡大の最盛期をリアルに経験することができる。かつ、僕らは日本の先輩たちから教えてもらったゲーム開発の歴史や文化的背景も知っている。その両方を掛け合わせた面白みや、中国という世界最大規模の市場をバックにして全世界に自分たちのゲームを発信できる醍醐味が、この桜花スタジオにはあります」

コンソールゲーム開発に挑戦する理由


一方で、日本側で桜花スタジオに参画している人たちはどのように考えているのだろうか。「30歳のターニングポイントで、ワクワクが止まらない新天地に出会えた」と語るのは、渋谷拠点の中心人物である久保田氏だ。

久保田氏は、2015年にスクウェア・エニックスに入社し、コンテンツの海外展開やマルチプラットフォーム移植を担当。2020年10月にNetEase Gamesへ入社し、日本側の中核プロデューサーとして、中国側と日々コミュニケーションを取りながら作品づくりに邁進している。
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文=藤井 薫

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