経済・社会

2020.12.24 07:00

上川法務大臣がすべてに答えた。「性犯罪」が直面する本当の問題点

上川陽子法務大臣

上川陽子法務大臣

2020年は、性犯罪に関する刑法(以下、性犯罪刑法)改正の「見直しの年」であることをご存知だろうか。
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2017年6月に明治時代から110年ぶりの大幅改正によって厳罰化されたものの、それでは「不十分」として「3年後に必要があれば所要の措置を講ずる」と記された附則が盛り込まれ、早急な議論が求められている。

特に「性交同意年齢」は、日本の現行法では13歳。これは、13歳未満の子供が性行為に対して「Yes / No」の適切な判断ができないとみなされているが、世界的に見て低い。日本では、13歳未満であれば、暴行・脅迫、または心神喪失・抗拒不能でなくても、強制性交等罪などと同等に扱われる。同じく13歳とされてきた韓国では、レイプ事件から世論の高まりもあり、2020年5月に16歳に引き上げられた。

世界中で性行為の際に互いの意思を尊重する「性的同意(Sexual consent)」の議論は活発化しているが、これまでの日本の性教育では不十分な面もあった。Me Too運動の高まりは日本でも広がり、性暴力を受けた当事者が、改善やさらなる改正を訴えている。
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菅政権発足により、3度目の法務大臣就任となった上川陽子大臣に、改革への思いと展望について聞いた。


犯罪被害者の問題はライフワーク その原点は?


法務大臣執務室に入ると、上川大臣がすっと佇んでいた。そして、物腰柔らかな挨拶からインタビューは始まった。

「加害者と被害者という区分けがありまして、そのどちらにも関わらない方々は、自分の問題として考えづらいと思うのですが」と「自分ごと化」の重要性を語った上川大臣は、元は国際的な実務派のキャリアを積んできた。

静岡市出身の上川大臣は、東京大学で国際関係論を学び、三菱綜合研究所研究員を経てハーバード大学大学院へ留学し、政治行政学修士を取得。米国上院議員の政策立案スタッフを経験し、大統領選挙運動にも参加し、帰国後は政策コンサルティング会社を設立した。2000年の衆院選で初当選を果たし、その年に少年法改正に取り組む機会があった。ここから、被害者や遺族の声に耳を傾ける彼女の政治家人生が始まっている。

転機となったのは、山一證券代理人弁護士夫人殺人事件で、妻を殺害された岡村勲弁護士との出会いだった。当時、犯罪に巻き込まれて突如、大切な人を失った被害者家族たちが参画した「あすの会」(2018年6月解散)の代表を務めていた岡村氏や重大犯罪の被害者の遺族から、深い悲しみや憤りを聞き、一言も言葉を発することができなかった。こうしたことをきっかけに、被害者やその家族を取り巻く、厳しい現実を知った。

その1年後の2004年12 月、犯罪被害者等基本法制定に深く関わった。
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文=督あかり 写真=帆足宗洋

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