法案は、2022年7月まで公立・私立学校での顔認証や他の生体認証技術の使用を一時的に禁止し、この技術が学校での利用に適しているかどうかについて、州が調査を実施し、ガイドラインを出すよう指示している。
クオモ知事のオフィスは、この調査は「教師や保護者だけでなく、学校の安全、セキュリティ、データ、生徒のプライバシー問題の専門家からのフィードバックを求めるものだ」と述べている。
この法律は、今年初めに州内のロックポート学区がすべての K-12(幼稚園から高校)の建物に顔認識技術を導入した件を、プライバシー団体が批判した後に導入された。同学区は、性犯罪者らの特定を容易にするために、この措置に踏み切ったと述べていた。
米国では複数の州が、警察署内を含めて、政府による顔認証テクノロジーの使用を禁止しているが、ニューヨーク州は公立学校と私立学校の両方でこのテクノロジーを禁止した初めての州となった。
一方で、ニューヨーク州が警察の顔認証を規制しないことについて、市民団体は危惧を抱いている。さらに、今回の法律は顔認証テクノロジーを学校から完全に追放するものではなく、調査が終了すれば利用を再開できる可能性を残している。
「この法律は、州の教育関連の政策立案者らに対し、生体認証テクノロジーの利用を開始する前に、一歩下がって専門家と相談し、プライバシーの問題に対処することを求めるものだ」と、クオモ知事は述べた。
教育現場での顔認証テクノロジーの導入に反対する動きは、活発化している。市民団体らは、この技術は学校で広範囲な利用が許されるほど、信頼性が高くないと述べている。顔認証のアルゴリズムは、特に、肌の色が濃い人を誤認する可能性が高いことがこれまでの研究で明らかになっている。
しかし、たとえ技術が100%正確だったとしても、顔認証テクノロジーが遅刻などの些細なルール違反を犯した生徒の特定に用いられるなど、悪用されるリスクが高すぎると反対派は主張している。