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2021.01.06 08:30

イノベーションを次々と生む、ロンドンだけではないイギリスのエコシステム


外資系企業も積極参加「ヨーロッパのシリコンバレー」テムズバレー


ロンドンの西に広がるテムズバレーはヨーロッパ最大のデータセンターがあり、「ヨーロッパのシリコンバレー」と称されるIT関連企業の集積だ。デジタルエンターテイメント、製薬、そしてF1チームの拠点も多いためアドバンストエンジニアリングの分野が強い。外資系企業が多く、地元の大学等への講師の派遣やインターンシップの受け入れ、共同研究にも力を入れており、イノベーションを芽の段階から育てる意識がある。

2012年より関西との地域連携も行っており、経済交流使節団の相互訪問など密接な関係性を築く中から、水素燃料電池関連のCeres Power社、ITM Power社や電気自動車エネルギーマネジメント関連のCrowdCharge社をはじめとする英スタートアップと日本企業の協業も生まれている。

イノベーションで地域再生を行うイギリスの都市


1980年代に製造業から金融へシフトした影響で、中部、北部は大きな打撃を受けた為、政府は優れたエンジニアの多いこの地域の再生に力を入れている。特に自動車や航空機関連の高付加価値製造イノベーション拠点としてCoventryやWarwickが成長しており、大学と企業の共同研究・ビジネス+政府の補助金等で新たな技術やビジネスモデルを生み出している。

MTCの社屋
Coventryにあるモノづくりイノベーションの拠点、MTC (Manufacturing Technology Centre)。スタートアップ、大企業、大学間の協業の中核を担っている。

南部のブリストルもイノベーションで見事な地域再生を果たし「ロンドンに次ぐ第二のデジタルビジネスのハブ」と言われるまでに成長。かつて貿易港として栄えた為、①様々な国から企業や人材が集積する ②貿易による富がある ③”Just Do It!”というカルチャーがあるなど、イノベーションが起こりやすい土壌があった。

そこで、周辺地域の大学等と共同で大学および企業発スタートアップの育成支援をし、それらと投資家や政府機関を繋げるインキュベーターを設立。更に、高速通信網を整備して町全体を実証実験の場として使用できるようにする、技術とアートを融合させるなどのユニークな試みで大企業とスタートアップの協業を後押ししている。

EngineShedの様子
ブリストルのイノベーションハブEngine Shed。スタートアップ企業のみならず、支援組織や行政機関も同建物内にあり、必要な支援をタイミングよく提供できる仕組みが整っている。

コロナ禍の動き


コロナ禍の英国VCの姿勢としては、投資を緩めるつもりはなく、起業家とリモートのみのやり取りで投資をすることも増えているという。

ヘルスケアテックが盛り上がりを見せており、AI診療のバビロンやリモートで患者のモニタリングができるHuma、リモート診療のPush doctorなどはNHS(英国の国民保健サービス)で既に導入され、オンライン処方箋サービスを提供するEcho Pharmacyは顧客を3倍に増やした。
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文=森若 幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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