三上:常に助け合い、支え合いの精神を持っておくことです。
私の場合、どちらかというと周りの方々からサポートを受けることの方が多いと自覚していますので、自分が貢献できそうな機会があれば、できる限り行動するようにしています。
一例として、今年の緊急事態宣言中には、地域の起業家の方々のために、コーチングや経営コンサルティングを無料でご提供する試みもしました。
鈴木:将来のライフビジョンは何ですか?
三上:事業を通じて「ケアに満ちた社会」を創ることです。
生命を守り、育む「ケア」は、本来は社会にとって最も重要な基盤ですので、子育て・教育・介護・看護・メンタルケアをはじめとする担い手は、相応に尊重され、十分なリソース配分と正当な評価を受けることが必要です。
しかし、残念ながら実情はそれとはかけ離れており、自己責任論の拡がりとともに、「ケアの欠如した社会」が進行しています。
昨今、課題感が高まりつつある企業のメンタルヘルス問題に関しても、水面下で組織の力を蝕み、パフォーマンスを低下させる要因となっていますが、日本では本質的な対策を取ろうという動きがなかなか見えてきません。
この状況を、企業の業績に貢献する脳疲労ストレスケアという切り口から、パラダイムシフトさせていくことを意図しています。
鈴木:5年間の軽井沢移住を通じて本当に様々なご体験をされてますね。そのご経験から今後、リゾートテレワーク・ワーケーションはどのようになっていくと思いますか?
三上:希望も含む予想になりますが、ワーケーションは、経済に人間性を取り戻し、市民主導の温かみのあるローカルコミュニティが再構築されていくためのプロセスとして活用されていって欲しいです。
経済効率を最大化するべく作られた大都市での生活に終始していると、まるで人は経済システムの歯車であるかのように錯覚し、いつしか主体性を失いがちではないでしょうか。
移動によって多様な生き方や価値観に触れ、自然の中に生きる人間としての本来の状態を思い出すことで、働く人が喜びと創造性を取り戻すきっかけになれば素晴らしいと思います。
インタビューを通じて
三上薫さんに最初にお会いしたのは、たまたま中軽井沢の居酒屋で開催された移住者懇親会の時でした。当時三上さんはまだ移住された直後で、軽井沢の事をほとんど知らない状態で、友達もいない状態でした。当時から直観力の鋭い方だと思ってましたが、その直観力が軽井沢の風土でもまれて、さらに大きく飛躍されています。直観力が大自然の中でさらに鋭く研ぎ澄まされて印象です。三上さんが言われているように、経済に人間性を取り戻し、市民主導のローカルコミュニティの再構築が出来るようなワーケーションプログラムは、今後市場から求められていくでしょう。
三上薫(みかみ・かおる)◎Lybliss代表。1978年、千葉県生まれ。東京大学卒業後、公認会計士等としてベンチャー支援で15年超のキャリアを持つ。監査法人トーマツ、ジャフコ、エムアウト、ウォルト・ディズニー・ジャパンを経て、2015年合同会社リブリス設立。2019年に社名変更し、代表取締役就任。