鈴木幹一(以下、鈴木):5年前に軽井沢に単身移住されたそうで、かなり思い切った選択だったと思います。何が三上さんをそうさせたのですか?
三上薫さん(以下、三上さん):直接のきっかけは、一足先に軽井沢と東京の二拠点生活を始めていた起業家の知人からの、「隣の家が空いたので、来ませんか?」とのお誘いでした。当時私は起業初期で、事業を通じて実現したい世界観を、まず自らのライフスタイルから実践していこうという思いがありました。
事業内容がエグゼクティブコーチングと経営コンサルティングという形のないサービスでしたし、口だけでは真実味や説得力が出ませんので。軽井沢への移住は直観的に即決しましたが、その前には、会社のビジョン創りのリサーチも兼ねて、国内外のエコヴィレッジやトランジションタウンなども訪ねていましたので、この地域とは何か特別なご縁があるのだろうと思います。
インタビューに答える三上薫さん 軽井沢のご自宅の書斎にて
鈴木:移住を直感的に即決!素晴らしいですね。お仕事を通じて、移住前と後では何か大きな変化はありましたか?
三上:職業柄、自分自身の感性や直観を常に研ぎ澄ましておく必要があるため、軽井沢に移ってノイズを減らし、自然の中に身を置いたことは、仕事の質を高めるのにとても役に立ちました。
また、他の移住者はじめ地域の方々との交流を通じて、無自覚のうちに囚われていた東京中心主義的な思考の枠が外れ、視野が広がりました。それにつれて、ある時から一気に交友関係が広がり、お会いする機会の得難いエグゼクティブも含めて、以前なら想像もできなかったような多くのつながりができました。そこから、お仕事のご依頼をいただいたり、新しいプロジェクトを立ち上げたり、昨年からは、ウェルビーイングを推進する企業向けの新規事業を始めるに至りました。
鈴木:軽井沢は、昔から「屋根のない病院」といわれ、ウェルネスリゾートを観光戦略の重要な柱にしてます。三上さんのお考えの新規事業は具体的にはどのようなものですか?
三上:この新規事業のテーマは、近年世界で最も注目されている「脳の活性化」です。具体的には、パフォーマンス向上やメンタルヘルスの改善など、様々な効果が報告されている脳疲労ストレスケアの手法を活用し、オフィスなどのワークプレイスへの出張型サービスを主にしています。
当初は、先進的なサービスには東京の方が関心集まるのではないかと思い、プレゼンして回ったところ、「怪しい」「エビデンスや前例はあるの?」という反応ばかりで、企業で使っていただくまでにかなり苦労しました。