鈴木:長野新幹線(現北陸新幹線)開通後、東京へのアクセスが格段に良くなって以降、新幹線通勤や、二拠点居住者が増えた軽井沢ですが、コロナ禍で再び移住先候補として脚光を浴びるようになりました。リタイア、セミリタイア層に加え、現役世代が増えたと言われています。一足先に移住をし、軽井沢ライフを楽しんでいらっしゃる冨川さんから、そうした方々に何かアドバイスをお願いします
冨川:はい、そうしたお話は良く耳にします。私がそうだったように、最初は恵まれた自然や新鮮な食材に感動し、通勤ラッシュや、明るすぎる照明や、うるさいほどの音響から解き放たれ、澄んだ空気に仕事効率があがり、創作意欲が高まります。そうしていくうちに、「人」に興味が移り、そこに自分の居場所を求め、バランスを崩さなければ、楽しい軽井沢ライフが過ごせることでしょう。
バランスを崩すなというのは、今あるものを変えるなという意味ではありません。新しい発想と考え方と行動力で相乗効果を発揮し、ヘゲモニーなきクラスとバランスの取れるお付き合いができる素養が必要なのです。
軽井沢には町条例で様々な景観規制や明文なきルールがあります。それらは軽井沢の先人方が軽井沢の品と秩序と信用を守るために作ってきたものです。是非、軽井沢への移住者やテレワーカー、ワーケーション実践者は、「場所」としての軽井沢の恩恵を受けるだけでなく、今まで培ってこられた、ご自身の経験や知見、そして、新しいスタイルへの熱意や理想を、軽井沢にもたらしてください。
インタビューを終えて
冨川さんとは、2年前に軽井沢で出会いましたが、初めてお会いした時から目が輝いていて将来ヴィジョンが明確な方だと強く印象に残っています。キャリアシフトとライフシフトは、計画的偶発から始まったということを確実に実践されてます。最近の軽井沢ではそのような移住者が増えているように感じます。彼らは地元の方々、別荘所有者、二拠点居住者、観光客などと交わり、様々な化学反応を起こしています。人と人とのつながりから新しい事象が生まれる。軽井沢エリアは、人生100年時代、豊かなライフスタイルを実践するにふさわしい場所として今後ますます注目されていくでしょう。
冨川久代(とみかわひさよ)◎1966年東京生まれ。千葉県立薬園台高等学校卒業。カリフォルニア大学バークレー校中退。ビジネススクールを経て大和證券株式会社入社。その後、ドイツ証券等複数の外資系金融機関を経て2008年6月からリーマン・ブラザーズ証券株式会社。同年9月のリーマン・ショック発生後、代表清算人として債権債務の清算を執り行い、約96%の弁済率を達成。2018年清算決了により退任。2018年4月軽井沢移住。同12月イル・モンド・ジャパン株式会社設立。講演活動やキャリアコーチング、民間経済研究所主催研究会参加、国際ハッカソンビジネスモデル審査員、社外取締役を担う。2019年4月ハイブランドセレクトショップCONSTANTINAを軽井沢に開業。
連載:『人生100年時代 豊かな生活をおくる次世代ライフスタイル学』
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