「自分にとってはそれが当たり前の暮らしだった」と、先日、フォーブスの30 UNDER 30のフード・アンド・ドリンク部門に選出された28歳のレイバは話す。「仕事が好きだったし、自分は若い頃にビジネスの全体を知ることが出来た」
メキシコからの移民の両親のもとに生まれた彼は、一家で初めて高校を卒業し、コーネル大学でホテル経営学を学んだ。その後、ニューヨークのメキシカンレストランTacombiで働いた彼は、いつか自分も店を持ちたいと思った。
2017年に、ニューヨークにある彼のお気に入りのチキンウィングの店、Wings Overが資金難で閉店するとの報せを聞いたレイバは、大学の仲間3人に声をかけ彼と一緒に投資するよう誘った。最初にフランチャイズで1店舗の運営を開始した彼らは、またたく間に30店舗の運営を手掛けるようになった。
しかし、その後、レイバたちは親会社の運営方針と対立するようになった。当時は、Buffalo Wild Wings(2018年に29億ドルで買収)や、Wingstop(2015年にIPOを実施し、株価はその後320%上昇)などが急成長していたが、Wings Overの親会社はブランドの価値を見抜けず、十分な投資を行わなかったのだ。
2017年3月に、レイバたちは推定1000万ドルを投じてWings Overの全店舗を買収した。その後は、冷凍肉の使用をやめ、バーガーなどのサブメニューを廃止して、20年の歴史を誇るWings Overの売りである、美味しいチキンウィングに専念することにした。
さらに、オンライン注文のシステムを刷新し、ブランディングをやり直した。「100%のブランドの支配権を握ることはとても重要だった。目先の金儲けのためにそれをやるのではなく、ずっと続くブランドを新たに生み出そうと思った」
レイバたちが経営権を握って以降、Wings Overの売上は20%伸びて5000万ドルに達した。パンデミックの中でも、彼らは新たに3店舗をコネチカット州とマサチューセッツ州にオープンしようとしている。先日、37店舗目をオープンさせたばかりのレイバはこう話した。
「ぼくと家族たちはアメリカン・ドリームを生きている」