製品デザインの重鎮が伝授する、素晴らしいストーリーの4原則

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アップル初のマウスや世界初のノートパソコンをデザインした伝説的デザイン企業IDEO(アイディオ)では、クリエーティブプロジェクトを成功させる上で、チーム内での優れたストーリーテリングが欠かせない。IDEOの元パートナーでゼネラルマネジャーのフレッド・ダストが新著『Making Conversation(会話を作る)』でストーリーテリングを取り上げたのも、これが理由だ。

ダストは最近、筆者のズームインタビューで、起業家やリーダー、ビジネスパーソンが顧客と意義のあるつながりを作るのに役立つストーリーテリングの4つの法則を共有してくれた。ダストはストーリーを「イルミネーション」と呼んでいる。これはストーリーの役割を表す素晴らしい言葉だ。

ダストは「ストーリーは、人々にあなたという人間の完全な理解を促す、シンプルで楽しいイルミネーションだ。こうした瞬間を与えることは、会話をしている人を引き込み、つながりを作る上でなくてはならないものだ」と語った。

訴求力のあるストーリー、つまりイルミネーションは、次の4つの原則に従っている。

1. 素晴らしいストーリーは簡潔


聞いている人に全てを語る必要はない。誰かの家を訪れた時、どのルートで来たのかと尋ねられたら、「680号線で」などと、主要な道路だけを答える。全ての道を一つ一つ伝える必要はない。

採用面接では必ず、ストーリーを組み込もう。面接官から「〇〇したときのことについて教えてください」と聞かれた場合、求められているのはストーリー、それも良いストーリーだ。いろいろなことについて事細かには話さないこと。前職での経験を一つだけ話すのなら、その仕事に就いた経緯については語る必要はない。

ストーリーから不要な詳細情報を省く方法を身に付けよう。その情報を加えることでストーリーがより良いものにならないなら、それは除外すること。

2. 素晴らしいストーリーは感情を揺さぶる


私たちが映画を見たり本を読んだりするのは、感動するため、何かを感じるためだ。あなたが語るストーリーは、怒りや不満、喜び、ユーモア、あるいは障壁を克服して不可能なことを達成した人に対する尊敬の気持ちなど、聞き手に何らかの感情を持たせるものにすべきだ。

ダストは、ストーリーに次のように助言している。「自分がよく語るストーリー、あるいは自分や自分の価値観、人生を特に鮮やかに示すと思うようなストーリーについて見直すときは、まずそのストーリーに感情的な核があることを確認しよう。ストーリーの中にメインの感情が見つからなければ、より深く掘り下げること」
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編集=遠藤宗生

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