新会社はイノヴィズの社名を引き継ぎ、INVZのティッカーシンボルで2021年の第1四半期の上場を目指している。今回の取引でイノヴィズの企業価値は約14億ドルとされ、買収金額は3億5000万ドル(約362億円)とされた。
SPACを用いた上場スキームは、伝統的なIPOよりも費用を抑え、迅速な上場が可能で、ここ最近、特にテック業界での採用が相次いでいる。
イノヴィズは2016年にイスラエルの諜報部隊の出身者らによって設立された企業で、マグナやAptivらと提携し、BMWが2021年に発売するSUV車両iXのLiDARセンサーなどを開発している。
イノヴィズはマグナやAptivらに加え、サムスン傘下の自動車部品大手のHarmanやソフトバンク、Phoenix Insuranceなどからも出資を獲得していた。同社は、2019年6月に1億7000万ドルの資金調達を実施した際に、「自動車車両向けにLiDARセンサーを提供するだけでなく、マッピングやロボット、ドローンなどに向けたソリューションも提供していく計画だ」と述べていた。
イノヴィズのセンサーは車両の周囲のオブジェクトを夜間などの悪条件でも正確に検知し、人間以上の精度で自動運転車両の運行を可能にする。同社の共同創業者でCEOのOmer Keilafは声明で「当社のエンジニアは、マグナ・インターナショナルと共に、自動車メーカーが大規模に採用でき、安全で信頼できるソリューションを提供するために、たゆまぬ努力を続けてきた」と述べた。
イノヴィズのSPAC上場は、この分野の複数の競合企業が同様のスキームで上場を果たしたのに続くものだ。
25歳の起業家が率いるLiDARセンサーのメーカーとして注目の「Luminar(ルミナー)」もSPACとの合併によりナスダックに上場した。ベロダインも、Graf Industrial Corpと呼ばれるSPACとの合併で上場を行い、先月はポルシェが出資するLiDAR企業のエヴァ(Aeva)が、InterPrivate Acquisition Corpとの合併により、2021年第1四半期までにニューヨーク証券取引所に上場することが決定した。