ビジネス

2020.12.25

ドリームワークスのクリエイターがスタートアップを応援する理由

(左から)三木アリッサ、キム・ズ、西村真里子(筆者)


──クリエイティブな挑戦をする人に必要なものとはなんでしょうか?

キム:僕自身、外国からの移民の子なんです。親がロサンゼルスにやってきて生まれた僕には家族以外頼れる人がいなかった。そんな僕がドリームワークスでいまのようなリーダーポジションになれたのは、信用できる方々に「挑戦する機会」をいただけたのが非常に大きいのです。アリッサには僕自身の挑戦に似たものがあり、機会を提供すれば一気に跳ねるような気がしました。

クリエイターの成長には、個人的な挑戦と同時に他人との関係もとても必要です。パーソナルかつリレーショナルな挑戦を続けることで、自分の表現したいゴールにつながる。

クリエイターはリスクをとって自分が信じる表現を続けています。時間をかけ、労力をかけ、しかもそれが正しい方向かどうかもわからず自分を信じて突き進む。アリッサの場合は和菓子、僕の場合はクリエイティブな表現そのものを信じ、突き進んでいる。

ただ、個人の挑戦だけでは、先に進むことができず、新たなステージに立つ機会を提供してくれる第三者の存在が必要になるんです。これはクリエイターであれば誰もが経験するものだと思います。

僕やドリームワークスのクリエイターは、そのような「挑戦する機会」がどれだけ重要なのか理解しているので、それをファーマーズマーケットという形で提供しています。直接ドリームワークスの仕事に関係なくても、地元で頑張っているスモールビジネスの方々を会社のキャンパスに招いてビジネスの機会を提供しています。

機会は掴むものでもあるし、提供するものでもある。ロサンゼルスのように世界中から多様なバックグラウンドの人が集まる場所だからこそ、クリエイターに「挑戦する機会を作る」ことの重要性がみんな理解できているのかもしれません。

──キムが与えてくれた機会は、アリッサにとってどのような財産になったのでしょうか?

アリッサ:単身で渡米し、現地で好まれると信じて和菓子を作り続けていたものの、受け入れてもらえる場所も少なく、また、日本からは「そんなの和菓子じゃない」という批難も受けたりして。自分が信じているものが受け入れられない非常に苦しい日々が続いていました。

そんななかで、キムさんがドリームワークスという世界最高峰のクリエイティブなキャンパスでの販売・紹介の機会を与えてくださったことは、MISAKY.TOKYOにとって大きなターニングポイントになりました。

何がすごいって、ドリームワークスのみなさんが「アメージング! 綺麗!」「ビーガン向け、かつ美しく美味しいのは今までにない」「作り続けてね!」など、とてもポジティブなフィードバックをくれたこと。売り上げが上がった以上に、みなさんのクリエイティブなエネルギーをいただけたことが、私に自信につながりました。
次ページ > 日本では得難い経験

文=西村真里子

ForbesBrandVoice

人気記事