ビジネス

2020.12.25

ドリームワークスのクリエイターがスタートアップを応援する理由

(左から)三木アリッサ、キム・ズ、西村真里子(筆者)


2019年創業から一年の間にアメリカンドリームを掴みに走っているのが三木だが、夢を実現するための機会は自分で掴みにいくものであると同時に、与えてもらえることもある。彼女に機会を提供した人の一人がキム・ズだ。

キムはロサンゼルスのドリームワークスのTV部門、3Dアニメーションのライティング(照明)とコンポジション(構成)を司るチームのリーダーを務める。 アニメーションに光を与え、ファイナルイメージを作る非常に重要な役割を担う立場の人間だ。彼はドリームワークス全社員2000人ほどに対して三木が作り上げた「クリスタル・トリーツ」を紹介し、販売する機会を作り上げた。

世界トップクラスのクリエイターが集まる場所での商品販売は三木のその後の活動を大きく後押しするものだったという。どのような機会をキムは提供してくれたのだろうか? またその背景にあるものはなんなのだろうか? コロナ禍おさまらぬ2020年の秋に三木とキムに話を聞いた。彼女・彼らの言葉に「精神の風」を感じて欲しい。


キム・ズ氏

──二人はどのようなきっかけで接点を持ったのでしょうか?

キム:ある日僕が家に帰ると、美容サロンに務めるガールフレンドが僕にプレゼントを渡してくれたんだ。箱を開けてみると美しい宝石がいくつか入っていた。綺麗だなと眺めていたら、ガールフレンドが食べてみてと促す。恐る恐る食べてみると、見た目の美しさだけではなく食べてみても美味しい。香りが華やかに僕の鼻腔を包む。抹茶、ゆず、ハイビスカス……しかもビーガン向けの誰でも安心して食べられるスイーツであるという。

見た目がよく、美味しく、しかも地球にも体にも優しい。興味深くこの和菓子クリスタル・トリーツを食べていたら、ガールフレンドは今日美容サロンであったことを話してくれた。

どうも三木アリッサという日本人の女性起業家が飛び込み営業でやってきて、スタッフやお客様にクリスタル・トリーツのサンプルを提供してくれたらしい。単身アメリカにやってきて試行錯誤しながら顧客開拓をしているなかで、商品の特徴から美容サロンにいる方に好きになってもらえるんじゃないかと思いサロンのドアをノックしたという。彼女の行動力と商品に惹かれて、ドリームワークスで行っているファーマーズマーケットに出店して欲しいと考えるようになりました。

ドリームワークスでは月に一回、ロサンゼルスの地元でクリエイティブな挑戦に挑んでいる方々にファーマーズマーケットと称して、商品を紹介・販売してもらう機会を作っています。大規模チェーンに乗らない、信念を持っているローカルビジネスの方々を限定10社ほどお招きするものです。

うちには2000人ほどのクリエイターがいるのですが、僕らはクリエイティブな挑戦をする人の苦労、そして彼らが必要なものを知っているので、アリッサが自分のプロダクトを紹介・販売するには良い機会だと思ったのです。
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文=西村真里子

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