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日本企業が世界で勝ち抜くために乗り越えるべき課題や進むべき方向についての提言活動を推進する、デロイト トーマツ コンサルティングの日置圭介パートナーに日米欧企業を比較してもらった。

日本企業の業績好調は本物なのか―。昨今、日本の上場企業に業績のよい企業が目立ちます。
しかし、それが世界的に見ても好業績かというと、必ずしもそうとは言い切れません。
 日米欧上位30社で、1.直近5年の売上高増加額(2013年度―09年度)と、2.リーマン・ショック前の好況時からの売上高増加額(13年度―07年度)を比較し、どちらが大きいか。2より1が大きい企業、つまり、リーマン・ショックの影響を受けず、成長を続けてきた企業は、日本企業ではデータを取得できた28社のうち1社もありません。
 それに対し、米系企業は17社と過半数を超える企業が、欧系企業も13社がこの部類に入ります。これが示すのは、日本企業がリーマン前の売上高まで戻し、その水準からふたたび成長に転じる間に、ショックの中心地にいたはずの米系企業はそれをものともせずに先を進んでいた、つまり、強靭な成長力を持っているということではないでしょうか。

企業規模と多角化度による比較

 こうした日米欧企業の違いの背景には、何があるのか―。一例として日米欧でグローバルに事業展開する企業を「企業規模(売上高1兆~2兆円/2兆円以上)」と「事業の多角化度(専業/多角化)」で分解して収益性・成長性を比較すると、企業の「稼ぐ力」にある傾向が見えます。
 日本企業で最も収益性・成長性が高い企業群は、企業規模が1兆~2兆円で専業に近い企業(利益率7.0%、成長率4.7%)です。これは、米系の同カテゴリの企業群(利益率14.8%、成長率6.6%)、欧系(利益率13.2%、成長率6.4%)と比べ、利益率では見劣りするものの、成長率は同等に近くなっています。
 ところが、企業規模が2兆円以上で多角化している日本企業は利益率が3.6%、成長率が2.7%に下がります。一方の米系企業では、その企業群が利益率15.1%、成長率5.5%と、特に利益率の差は歴然とします。こうした比較から、日本経済に影響力の大きな企業の収益性・成長性がおしなべて低いことが見て取れます。
 
なぜ、このような傾向が現れるのか―。そこには、日本と欧米の経営者の考え方、いえ、もっと深くにある世界の捉え方の違いがあります。日本の経営者は、経営環境の変化が激しいと認識はしながらも、いまだ「変わらない」ことを前提としがちなのに対して、欧米企業、特に米系の経営者は常に「変わる」ことを前提にしています。こうした根本的なスタンスは、もしかしたら日米の挨拶に象徴的に表れているかもしれません。久々に知人に会った際、アメリカは「What’s New?」、日本は「お変わりありませんか?」ですから。
 欧米企業の利益率が高いのは、資本市場からのプレッシャーという外的要因もありますが、事業の組み替えやその手段としてのM&A(合併・買収)などの“原資”を稼ぐという目的もあります。変わるためにはお金が掛かるのです。変化するために稼ぎ、稼いだら変わるために使うという“いい循環”が起きています。

 一方、日本企業の場合、 多角化している企業よりも、専業の収益性が高い。事業を組み替えることで収益性が向上する可能性のある企業でそれができていないということであり、「変化」による好循環が起きていないことがわかります。これは個々の経営者に起因する問題だけでなく、「安心・安全・安定」を優先してきた日本の社会システムも背景にあります。戦後復興から高度成長を経て経済大国に至る過程では、変わらないことはよいことだったのです。すでにそのような経営環境ではないことは、言うまでもありませんが。

“いま”を切り取り比べれば、多くの日本企業は欧米のグローバル企業に追いついていませんが、“時間軸”をずらしてみると、そこへの道程が見えてきます。そもそもアメリカの企業が危機感をもちはじめたのは、1980年代に日本の製造業が席巻したことがきっかけでした。従来の戦い方を変えた企業が、冷戦崩壊とともに進んだグローバル化に適した組織体にいち早く変わっていったということだと思います。いまはまだ、日本に本当のグローバル企業はありません。しかし、グローバル展開している企業は多い。つまり、“外”を知る人材が多く生まれていますから、彼らがマネジメント層に就き、従来のしがらみにとらわれずに覚悟をもって変革を進められれば、時間はかかりますが、グローバルで同等の存在感をもつこともできるのではないでしょうか。

構成=荒川龍

 

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