新型コロナワクチンをどう普及すべきか? 安全で効果的な5つのステップ

実用化に向けた対策は?(Getty Images)

新型コロナウイルス感染症ワクチンに注目が集まっているなか、実用化に向けた具体的な注意点を見直すべきかもしれません。世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。


・新型コロナウイルス感染症ワクチンの実用化が近づく中、どのように世界的に普及させるかが課題となっています。
・グローバル・エクスプレス・アソシエーションは、タイムリーで安全なワクチンの流通体制を整えるために、各国政府が取るべき重要なステップを提案しています。
・具体的には、製品の安全性の確保や、国境でのボトルネックの回避などが挙げられます。

新型コロナウイルス感染症ワクチンは、実用化され次第、迅速かつ安全に世界中に流通させなければなりません。運送業者各社は、すでに、これまでの医療輸送の経験を活かしながら、ロジスティクスの調整とプラン作成に取り掛かっています。

ワクチン普及に向け各国政府に求められる5つのことを見ていきましょう。

1. 製品の安全性を最優先に


出荷されたワクチンの中身について、混乱が生じるようなことは決してあってはなりません。

世界保健機関(WHO)は、すべての承認済みワクチンに世界共通の製品IDを割り当て、公式のリストを公開し、世界税関機構(WCO)は、新型コロナウイルス感染症ワクチンに標準分類(HS-6)を設定する必要があります。そして、製造国は、他の国が認識できるよう、ワクチン製品の分類決定を事前に行うべきでしょう。

また、偽造を防ぐため、真正なワクチン製品は、認可されたサプライチェーン以外での流通を禁止することとし、サプライチェーンの安全性を確保しなければなりません。

2. 効率的な輸送計画を


航空輸送業者は、数千単位のフライトを増便できるよう事前に承認を受けておきます。貨物機のために、着陸、上空通過、空港スロットの許可も迅速に取得する必要があります。空港でも、夜間フライトなどの例外的な運用をサポートできるよう準備しなければいけません。

また、国際民間航空機関(ICAO)の「救援活動のための公衆衛生回廊」のコンセプトに概説されているように、隔離、渡航禁止、出発前と到着後の検査要請を、症状がない限り免除するなど、搭乗員も移動できる環境を整えておかなければなりません。

さらに、国境を越える道路運送の円滑化や、国境での専用レーン開設も必要です。ワクチン輸送ができるだけ中断されないようにするには、入国の要件を簡略化し、可能な範囲で自動化しなければなりません。そして、国から国へのワクチン輸送が滞らないことと同時に、各国の検問で警察や軍などによるセキュリティサービスが、ワクチン輸送を停止させることがないようにもしなければなりません。

また、あらゆる規制要件を見直し、効率化や免除をすべきかどうか判断しなければなりません。中央政府から州や地方自治体まで、あらゆるレベルで、ワクチンの流通や保管など、ロジスティック上の取り扱いにライセンスや承認が必要となる場合があります。組織的な取り組みによって、その検討が進められるべきでしょう。
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文=Carlos Grau Tanner, Director-General, Global Express Association;Sean Doherty, Head, International Trade and Investment, World Economic Forum

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