SAR衛星で100億円調達の米カペラスペース、商用利用を本格化

クアルコム・スタジアム(カリフォルニア州 サンディエゴ)のSAR画像 CAPELLA SPACE

NASAのジェット推進研究所の元エンジニアのPayam BanazadehとWilliam Walter Woodsらが設立した米国の宇宙スタートアップ「カペラスペース(Capella Space)」は、ベンチャーキャピタルから累計1億ドル(約103億円)を調達しているが、このほど本格的な商用化を宣言した。

8月31日にニュージーランドの発射場から打ち上げられたロケットラボのプロトンロケットには、サンフランシスコ本拠のカペラスペースの2番目の小型衛星Capella-2が登載されていた。その後の数週間でCapella-2は地上の撮影を開始し、その最初の画像が公開された。

Capella-2は合成開口レーダー(SAR)と呼ばれる技術を用い、高解像度のレーダー画像を撮影する。SAR衛星は、悪天候で地表が雲に覆われていたり、日が差さない状態でも地表を撮影可能だ。

カペラスペースは2018年に初のSAR衛星を打ち上げて以来、プロダクトの改善に取り組んできた。「その過程で、私たちはより効率的なプロセスを実現した」と、同社の共同創立者でCEOのBanazadehは話す。彼は共同創業者のWoodsと共に2017年のフォーブスの30アンダー30に選出されていた。

「SAR画像は地球観測市場の中で急成長しているカテゴリで、競争が激化している」と、Quilty AnalyticsのアナリストのChris Quiltyは話す。「カペラ社が自社のプラットフォームで取得した極めて高解像度なSAR画像を公開したことは、技術的観点からも、資金調達の観点からも、重要なマイルストーンとなる」

この分野には、エアバスのような伝統的な航空宇宙企業や、フィンランドを拠点とするIceyeのような新興企業など、すでに多数の大手が存在している。「カペラ社は、なるべく早い段階で、彼らの衛星の能力を迅速に市場に示す必要があった」と、Quiltyは指摘した。「今後の課題は、顧客にとってより魅力的なテクノロジーを提示していくことだ」

2番目の衛星が稼働を開始したことで、カペラ社は顧客向けのデータ提供を開始すると、Banazadehは話す。同社のビジネスモデルは「サービスとしてのデータ」であり、顧客らに画像を有償で提供する。カペラ社は、アナリティクス製品の開発も進めているが、現状では同社の顧客の大半は政府機関であり、「これらの顧客は分析よりも生データに興味を持っている」と、Banazadehは続けた。

同社の次の課題は来月、スペースXのロケットでさらに別の衛星を打ち上げることだ。これらの2つの衛星、Capella-3とCapella-4は、Capella-2とは異なる軌道に送り込まれる。これによりカペラ社はさらに多くのエリアを撮影対象にできる。

新たなマイルストーンに到達した今、Banazadehは、カペラ社のミッションをさらに前進させることに自信を抱いている。「4年前に会社を立ち上げて以来、直近の3カ月間は最もエキサイティングな時期となった。私たちは、米国で初めて商用のSAR衛星を開発した企業となり、打ち上げを成功させた。今後もさらに歴史的な発表を行っていくつもりだ」

編集=上田裕資

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