「すべて僕らの意思」で。End of the Worldの新しいグローバル戦略

Fukase(写真右)とクリエイティブ・ディレクターの和田直希(同左)

Fukase(写真右)とクリエイティブ・ディレクターの和田直希(同左)

未だ猛威を振るい続ける新型コロナウイルス。世界中が厳しい経営環境に直面するなかで、他者に先駆けて活路を見出し、未来を切り拓いた企業が各地に存在していることをご存知だろうか。12月25日(金)発売号では、そんなロックダウン時代を象徴する賢者たちを特集。なぜ彼らは現状を打破し、未来の扉をこじ開けることができたのか。その法則とは──。

SEKAI NO OWARIのグローバルプロジェクト「End of the World」は2020年11月、ファーストアルバムを世界に向けてリリースした。その独自の世界戦略を紐解く。


ニューヨーク・タイムズスクエア。世界的企業の広告が流れている、巨大なディスプレイの中に、彼らの姿があった。日本を代表する音楽グループ・SEKAI NO OWARIがグローバルプロジェクトとして活動する「End of the World」の4人のメンバーだ。ファーストアルバム『Chameleon』を世界に向けてリリースした11月27日から1週間、Amazon Musicのビルボード(広告)として起用された。ファーストアルバムでの起用は、世界的に見ても極めて異例だ。

同アルバムでは、英国バンドのクリーン・バンディット、同シンガーソングライターのガブリエル・アプリン、インドネシア出身のシンガーソングライター・NIKIなどをフィーチャリングに迎えるなど、世界中のアーティストとのコラボレーションにも取り組んでいる。一方で、アーティストとしての世界展開への戦略もユニーク、かつ、前例のない取り組みを行っている。「1枚目のアルバムなので、地球上で限りなく多くの人、数十億単位で認知を得たかった」

グローバル展開。その手段として、フロントマンのFukase(写真右)をはじめとしたEnd of the World、そのクリエイティブ・ディレクターの和田直希(同左)はコロナ禍の2020年4月、LAND(ランド)という企業を立ち上げた。アーティストを所属させ、音源・CD作成を行うレーベル、プロモーションや流通を行うレコード会社、アーティストのマネジメントをする事務所など従来の音楽業界の仕組みを超えた、世界展開のための新たな取り組みを行う組織だ。和田は、シンガポールに本社、インドネシアに工場をもち、ニューヨークをはじめ家具のサブスクリプション(定額課金)サービスを展開するスタートアップ、カマルクホールディングスの創業者という一面ももつ。

従来の楽曲リリースは、レーベル、レコード会社、事務所それぞれの意思や戦略の上で展開していくが、和田は「D2C(ダイレクト・トゥー・コンシューマー)」のビジネスモデルを引き合いに出しながら次のように話す。

「僕らは、アーティストの意思、チームの意思ですべて決めています。いい楽曲をどうやって人に届けるのか。その手段が、時代とともに変化していることもありLANDを設立しました。世界中で一気に認知を得るためにはどうしたらいいか。僕らで考えて『エンドユーザーが多い企業と組む』ことを決めた。アーティストの新しいあり方を、米Amazonや中国テンセントとパートナーシップを組みながらできているのが、エキサイティングですね。タイムズ・スクエアでの広告掲載もですが、インディーズでも『USのメジャーレーベルのような展開ができる時代だ』ということを強く意識しています」
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文=フォーブスジャパン編集部 写真=ヤン・ブース

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