なぜ、クリエイターたちは軽井沢・御代田を目指すのか?

セルフビルドしたウッドデッキで家族と焚き火を楽しむ



薪ストーブで暖をとるのが日常だ

鈴木:大月さんご自身の今の仕事や将来ついては、どのように考えていますか?

大月:私は現在、都内にある広告代理店に在籍し、主に大企業の広告・マーケティングの戦略立案や企画、実行に携わっています。ここ数年、多くの企業・ブランドがコミュニケーションの主戦場をマスメディアからデジタルメディアに移行し、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)も加速していますが、私は特にSNSを用いたブランディング、ファンづくり…といったことを専門としています。

今では働く場所も情報を届ける先も物理的な制約がまったくないので、それこそ普段は御代田の森の中から仕事ができていて、まさに毎日がワーケーションといった状態です。これは1年前にはまったく予想できませんでしたが、大きな変化ですね。

その一方、この地に根ざした身体性に富むライフスタイルが日常となったことで、仕事においても、よりローカルで、文化的な取り組みや顔が見える直接的な触れ合いを伴うようなプロジェクトに携わっていきたい…という思いも芽生えきています。

例えば、長野県にある企業・ブランドや教育機関などに最新のデジタル知見を導入したり、スタートアップやコミュニティへの関わりを通じて持続可能な仕組みづくりや情報発信に貢献したり…といったようなことを考えています。

また、まずは個人や家庭で出来ることとして、「自然の中で生きる力」を楽しみながら高めていきたいとも思っています。エネルギーを自給したり、農業、狩猟採集、木こり、セルフビルドといったようなDIY的な技術を少しずつ習得し、循環型の生活に徐々に移行していきたいなと。

そして最終的には、現代における百姓とは何かを再定義し、それらを多くの人が参照できるような形でまとめていき、自分自身も実践していければと思っています。


中古で購入した軽トラと息子たち

鈴木:百姓という言葉の語源は、100のスキルを持つ人たちと言われていますから、現代の言葉に置き換えると多様性ですね。

大月:百姓と言うと農家というイメージが強いですが、もともとは「1つの仕事にとらわれずに世の中に必要な様々な仕事を兼業していた人」のことを指していたようです。これはまさに現代におけるスラッシャーやパラレルワーカーそのものだと思います。

従来の働き方にとらわれることなく、専門性や経験、人脈などを掛け合わせながら、新たな仕事や価値を社会に生み出していくことは、不確実で不安定な時代にこそ、より求められていると思います。そういったことに積極的に関わっていきたいですね。

インタビューを通して一番印象に残ったこと〜

大月さんは、軽井沢エリアに移住され、素敵なライフスタイルを満喫されています。地域とのかかわり、移住者同士のネットワーク、家族との時間、仕事に関する考え方、どれ一つとっても、昔の移住者とライフスタイル、価値観、ブランドロイヤリティーが明らかに変わってきています。大月さんのような移住者が増えていくと、軽井沢エリアがますます面白くなっていくと確信しました。


大月 均◎コミュニケーションディレクター/プロデューサー。1982年生まれ。東京都出身。青山学院大学経営学部、桑沢デザイン研究所STRAMD(戦略経営デザイン専攻)卒業。マーケティングファームを経て、2014年より株式会社スパイスボックス。幅広いクライアントの広告やマーケティング業務に携わりながら、セミナーや執筆、R&Dにも従事。ソーシャルリスニング、SNS、インフルエンサー、動画など、デジタル領域の最新手法を用いた統合マーケティングコミュニケーションの戦略立案、企画、実行を得意とする。「宣伝会議」教育講座講師。

連載:『人生100年時代 豊かな生活をおくる次世代ライフスタイル学』
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