なぜ、クリエイターたちは軽井沢・御代田を目指すのか?

セルフビルドしたウッドデッキで家族と焚き火を楽しむ



大月さんの自宅

また、教育面でも、先進的な学校が開校したり、自然の中での体験学習やイベント、ワークショップなども活発に催されたりしています。そして何より、多様性のある魅力的な人々が集まり、そこにコミュニティがいくつも重なり合いながら育まれている…という点がこのエリアに移り住んだ最大の理由です。

鈴木:魅力的な人達によるコミュニティがある、というのはとても大きいですね。軽井沢と隣町の御代田ではコミュニティに何か違いはありますか?

大月:軽井沢は日本を代表する避暑地の1つとして昔から多彩な人材を引きつけてきた地域ですが、新幹線に乗れば東京まで片道1時間という便の良さもあって、コロナ以前から移住や複数拠点を実践されている方々がたくさんいらっしゃいました。しかし最近では、軽井沢だけでなく、御代田や佐久、小諸、東御の辺りまで、移住者が増えています。

軽井沢は会社を経営している方や大企業の方などが多い印象ですが、御代田などのエリアを選ぶ人たちにはいわゆるクリエイターやフリーランスの方々が多いことも特徴の一つだと感じています。

鈴木:御代田には、なぜそのような(クリエイター、フリーランス)人たちの移住が増えているのでしょうか?

大月:もちろん個人や家族によって考え方や価値観は異なると思いますが、大きな共通項として「豊かな暮らし、自分たちらしいライフスタイルを志向している」ということが挙げられると思います。

連休や紅葉シーズンなど、軽井沢の周辺はどうしても渋滞や混雑が発生することもありますが、浅間山の麓に広がる御代田町は、軽井沢の様々な恩恵を享受しつつも、よりコンパクトでローカルな生活を営むことができます。

人口1.5万人ほどの小さな町で、必ずしも便利とは言えない自然豊かな住環境の中で暮らすには、人との協力が欠かせません。例えば、畑を借りたり、薪を調達したり…といったことなどですが、そうした共同作業を通じて、仕事きっかけではなく日常生活の中でのフラットな触れ合いが育まれていきます。


薪活(薪を共同で調達する活動)の様子

また、SNS上でも、地域にまつわる情報を受発信する中で、このエリアで活動する人の存在やお互いの共通点が可視化されやすく、出会いや繋がりを促進する一助にもなっています。私自身、年齢も出身もキャリアも異なる方々との交流が日常的に生まれていて、東京に住んでいた時よりもむしろ豊富な出会いに恵まれています。

「人が少ない」という事実が、かえって共通の趣味趣向や関心、ニーズを持つ人たち同士の結びつきを促進しているのではないかと感じています。
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