Wishは主に中国から調達した格安品を扱う通販サイトで、ポーランド出身で元米グーグル技術者のシュルチェフスキーらがサンフランシスコで2010年に設立した。シュルチェフスキーはコンテクストロジックの株式18%近くを保有する個人では最大の株主で、議決権ベースでは過半を握っている。
16日のナスダック上場では、売り出し価格は24ドルに設定され、コンテクストロジックは11億ドルを調達した。だが取引開始後、株価は急落し、初日の終値は16%安の20ドルだった。それでも、IPO前に推定18億ドルだったシュルチェフスキーの資産額はやや増えた。
コンテクストロジックのIPOは、食事宅配サービスの米ドアダッシュ(DoorDash)や民泊仲介の米エアビーアンドビー(Airbnb)に続く、企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」の今月の上場案件として注目されていたが、IPO後に株価が急騰したドアダッシュ(86%高)とエアビーアンドビー(113%高)と明暗を分けるかたちになった。
通販サイトという業態上、Wishは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)中も好調を維持したとみられ、実際、2020年1〜9月の売上高は前年同期比32%増の17億ドルとなっている。ただ、同期も最終損益はなお1億7600万ドルの赤字だった。顧客を引き寄せるための巨額の広告費や、中国からの運送コストの上昇が響いているもようだ。
シュルチェフスキーは2019年にフォーブスのビリオネアリストに初登場し、当時の推定資産額は14億ドルだった。