『私は私のままで生きることにした』はなぜ売れた?日本の女の子が韓国エッセイを読む理由

頑張らなくてもいい。気持ちを楽にしてくれる本/photo by sean Kong on Unsplash


韓国ドラマがきっかけで大きな注目を集めた本もあります。それが、全編を通して自己肯定の言葉が並べられた恋愛エッセイ『すべての瞬間が君だった―きらきら輝いていた僕たちの時間』。こちらは、日本でも大人気の韓国俳優パク・ソジュンさんが出演し、日本でも放映されたドラマ「キム秘書はいったい、なぜ?」で、キム秘書の愛読書として登場し話題に。ドラマで取り上げられた本書の言葉に心を打たれ、韓国版を購入していた人もいるようです。今年5月に邦訳本が発売されると、たちまち人気を博しています。

その他、東方神起のユンホさんの愛読書として知られていた『あやうく一生懸命生きるところだった』や、少女時代のスヨンさん、BTSのRMさん、Red Velvetのアイリーンさんなどがコメントし話題となった『82年生まれ、キム・ジヨン』なども日本でベストセラーになっています。

このように、MERY世代女子たちの間で韓国エッセイ本が話題になっているのには、そもそも日本で韓国アイドルやドラマがブームになっていることが大きく関係しているといえるでしょう。

韓国本、韓国エッセイが話題となっているホントの理由


しかし、好きなアイドルや俳優が読んでいるというだけでは、読むきっかけにはなったとしても、ここまでのムーブメントは起こらないのではないでしょうか。何か、もっと根本的な理由があるはずです。その理由を探るべく、MERY世代女子の代表として、MERYの読者3名に話を聞いてみました。

韓国ファッションやコスメ、アイドル、ドラマが好きだという社会人のRさん。SNSで話題になっていたことやBTSのジョングクさんが読んでいたことから、『私は私のままで生きることにした』に興味を持っており、実際に購入したといいます。

この本を購入した理由を聞いてみると、「仕事で悩んでいたこともあり、元気になりたくて買った」とRさん。同じく韓国のトレンドに興味があるという大学生のNさんも、「挫折した人が頑張らなくていいんだよという内容が心に響く」と話しています。

そもそも、今話題となっているエッセイに共通しているのは、「今のままの自分を肯定しよう」「頑張って生きなくてもいい」といったメッセージ。人と比べることはやめて、一度立ち止まり、ダメな自分も認めようといったような言葉が、ストレートにつづられているのです。

翻訳版の韓国エッセイ本の表紙

「韓国エッセイが流行っているのは、MERYユーザー世代の自己肯定感が低いからでは? SNS疲れもあるかも」とRさんがいうように、SNSで誰かと比較することが日常のMERY世代女子たち。つい他人と比較してしまうことで、「あの子はあんなに素敵で幸せそうな生活を送っているのに、私はなぜ……」と、自分を卑下してしまいがちです。ところが、韓国のエッセイ本には、そんな辛い気持ちを代弁してくれるような、寄り添ってくれるような言葉が並んでいる。そして、その数々の言葉は、著者たちの実体験に基づいて書かれているからこそ、若者たちの心にも響くのではないでしょうか。
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文=MERY Lab

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