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2021.01.31

シンパシーだけでは不十分。デザインリサーチに必要な「本当の共感力」とは

あなたのビジネスは共感するだけになっていか/photo by Dylan Ferreira on Unsplash

“共感力”とは何だろうか。デザイン思考のファーストステップであり、IQの対比として使われるEQ(Emotional Intelligence Quotient = 自分と相手の感情を把握し、状況に応じて自分の感情をコントロールできる能力)のひとつでもある共感力とは、相手の感情を知ることではなく、相手と同じ感情を疑似体験することである。

デザイン思考の最初のステップは「共感」


デザイン思考における「共感」フェーズでは、リサーチャー自らがユーザーの代弁者となることで、実際にサービス・プロダクトを受け取るユーザーの潜在的なニーズを掘り起こすことを目的としている。

そもそも全てのプロダクトもサービスもユーザーの存在を前提で作られているため、使い手側が何を見て、感じて、どのような行動を起こすかを理解しなければ、ユーザーが抱える課題の解決にはならない。どんなサービスやプロダクトをつくる上でも、共感力が重要なスキルと言えるだろう。

デザイン思考のプロセスを示した図
一般的なデザイン思考のプロセス

では、共感力を高めるにはどうしたらよいのだろうか?幸いなことに、共感力は生まれ持った才能や素質ではなく、誰もが習得できるスキルである。今回は今すぐ実践できる共感力を高める3つの方法をご紹介したい。

共感力を高める3つの方法


1:Journal(感情を書き残す)
2:Pause(会話に沈黙を取り入れる)
3:Increase your contact with “outsiders” (自分と異なる環境に身を置く)

1. Journal


まず1つ目は、その日考えたことや感じたことを書き残し、自分の喜怒哀楽を生み出す出来事を感情ごとに可視化するという方法だ。

自分の感情が良い方にも悪い方にも動かされた出来事を思い返し、その時の感情・思考を言語化して自分の感情を客観視することがポイントとなる。具体的には、毎日メモを残す、週末だけ日記を書くなど簡単な方法がいいだろう。

筆者が実施しているのは毎晩3Fメモを書くことだ。3FとはFact(出来事)、Feeling(感じたこと)、Finding(気づき)の頭文字をとったもので、弊社のデザインリサーチャーお手製のネーミングであるが、書き残すことが明確で実施しやすいのでお勧めしたい。

メモ書きの写真
筆者のとある日の「3F」メモ

この日々の活動を通じて、実体験に基づいた感情のボキャブラリーが増え、相手の感情をより的確に理解し表現できるようになる。また、自分の感情の変化とそれを引き起こす出来事に意識を向けることで、相手の感情を引き出す根源をも理解しやすくなる。
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文=Chika Mori(btrax)

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