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xID CEO 日下光に、これまでの慣習を「やめる」コツを聞いた

コロナ禍における日本政府と行政の対応の混乱ぶりを受け、日本が「デジタル後進国」であることが浮き彫りになった1年だった。

特に10万円の特別定額給付金の給付を巡っては、市区町村によって振込の時期にばらつきがあり、自治体ごとにシステムも違うことが話題になった。安倍前首相が退任した後の菅政権下では、デジタル化を軸とした行政改革を急速に推し進めている。そんななか、官民ともに「DX、脱ハンコ、ペーパーレス」など、既存の慣例やルールを「やめる」動きが加速化している。

急激な変革期であるいま、日本ではどのような舵取りが必要だろうか。

「電子政府」と言われるエストニア政府のアドバイザーを務め、今年から日本の地方自治体と組んで「行政DX」を進めるxID(クロスアイディー)のCEO日下光に、これまでの慣習をうまく「やめる」コツを聞いた。

「やめる」を決める

なぜ加賀でマイナンバーカードの普及率が急増?


デジタル行政改革を実現していくための基盤となるのは、マイナンバーカードだろう。政府は、2022年度末までに、ほぼすべての国民に行き渡るようにする目標を掲げているが、現段階での普及率は2割余りにとどまっている。

そんな中、石川県加賀市のマイナンバーカード申請率が高いことに注目が集まっている。12月15日現在、加賀市の申請率は67.1%となり、全国の市区の中でトップだ。また普及率においても、12月3日の時点で全国2位の46.5%を誇っている。加賀市の人口約6.7万人のうち、3万人以上に普及していることになる。

加賀市は、2018年に「ブロックチェーン都市宣言」を発表すると、人口減少や高齢化のへの対応策として、行政のデジタル化を積極的に推進してきた。2019年6月、日下が登壇したデジタルガバメントのイベントに宮元陸市長が参加したことで両者の交流が始まり、その半年後の12月には、ブロックチェーンを活用して政府や自治体のデジタル化支援を行なうxID(クロスアイディー)との連携協定を締結。日下は加賀市のDXアドバイザーに就任した。

2020年8月には、加賀市の一部の行政手続きの電子申請サービスを開始するなど、柔軟にデジタル化を進めてきた。xIDが提供するマイナンバーカードに特化したデジタルIDアプリ「xID」によって、スマートフォンで本人認証と電子署名が可能になり、従来のように対面での本人確認や書類への押印は不要となる。

日下は「『行かない・書かない役所』の実現に向けて、他の事業者と連携もしながら、まずは人間ドックの助成金からオンライン申請ができるようになり、今年度中には約50種類の申請ができるように、業務の棚卸しからお手伝いをしています」と語る。

とはいえ、「xID」を用いた行政のデジタル化が普及する前提には、加賀市内でマイナンバーカードが普及している必要がある。というのも、このアプリを最初に登録する際に、マイナンバーカードを用いた認証が必要だからだ。xIDと加賀市が連携協定を結んだ1年前には、マイナンバーカードの普及率は20%以下だったというが、倍増した背景には、どのような要因があるのだろうか。

文=渡邊雄介 編集=督あかり 写真=Christian Tartarello

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