そんな年の瀬、一年を労うのにおすすめの、“すこし背伸び”をしたスパークリング・ワインを3つ紹介したい。ギフトや手土産にも、喜ばれること間違いない。
カリフォルニアらしさを大事にしたスパークリング・ワイン
2020年のカリフォルニアは、コロナ禍に加えて、大規模な山火事がワイン産地を含む広範囲を直撃し、大変厳しい年となった。山火事の発生がブドウの収穫時期と重なり、ワイナリーによっては今年の生産をすべて取りやめるという苦渋の決断を下したところもある。
近年は、こうした自然災害の影響を避けられないカリフォルニアだが、元来は太陽をしっかり浴びて、熟度の高いブドウが育ち、ワイン造りに恵まれている土地だ。
そんなカリフォルニアの良さを鮮やかに表現しているのが、クルーズ・ワイン・カンパニーの「Tradition」。シャンパーニュにも精通している理系のマイケル・クルーズ(Michael Cruse)氏が、独学でワイン造りを学び、本格的な瓶内二次発酵のスパークリングを手がけている。
しっかり成熟した透明感のある果実に、トーストやナッツのニュアンスが加わり、精巧な造りで、カリフォルニアの太陽が思い浮かぶ、明るい気持ちになれる1本だ。
クルーズ・ワイン・カンパニー「Tradition」
期待の星、イギリスのスパークリング・ワイン
気候変動はワイン業界でも長年の重要トピックだ。その影響は多岐にわたるが、イギリスのワイン産地にはポジティブにはたらいている。
イギリスはもともと冷涼な気候のため、ブドウ栽培は難しいとされていたが、最近では、温暖化の影響を受け、その冷涼さを活かした高品質なスパークリング・ワインの産地として名を上げてきている。特に2020年は天候に恵まれ、ブドウの糖度があがり、酸とのバランスのよい、期待できる収穫年となった。
ナイティンバー(Nyetimber)は、イギリスのスパークリング・ワインの先導を切る生産者だが、人気の背景には品質の高さがある。
フラッグシップの「クラシック・キュヴェ」は、ピノ・ノワール、シャルドネとムニエがバランスよくブレンドされた、万能な1本。アペリティフ(食前酒)としてはもちろんのこと、魚介類を使った和食にもよく合い、この時期にも活躍するだろう。
ナイティンバー「Classic Cuvee」