計画から12年、未だ不明瞭なキーストーンXLパイプラインの行方

Photo by Yoon S. Byun/The Boston Globe via Getty Images


現在、パイプライン建設はカナダで進行しており、国境を越えて米国へと伸びつつあるが、複数の訴訟により停滞を余儀なくされている。2020年大統領選中にジョー・バイデン陣営は、同氏が勝利した場合、キーストーンXLパイプラインの建設許可を撤回すると公約に掲げた。複数の有名環境保護団体がバイデン次期大統領に公約を守るよう促しているが、「レインフォレスト・アクション・ネットワーク」が発表した新たな報告書によると、トランプ政権は将来の政権が計画を中止するのがきわめて困難になるよう根回しをはかっているという。

キーストーンXLパイプラインはすでに役に立たないという意見もある。その根拠としては、現状の原油安のため、カナダやノースダコタ州バッケンのシェール地域で石油生産量が大幅に減少している事実があげられている。加えて、BPによる「エネルギー・アウトルック」など権威ある予測において、石油需要がすでにピークに達した可能性が指摘されている。一方、金融機関はこうした不安要素にもかかわらず、プロジェクトへの融資にコミットしつづけている。

現実には、将来の石油需要や石油価格がどうなるかは見当もつかない。キーストーンXLパイプラインは石油の輸送コストを下げるため、アルバータ州の石油生産者にとっては事業の収益性が上がり、生産量を増やすインセンティブになるだろう。過去には、輸送コストが石油生産の足かせになっていた。

ほかの予測をみると、例えばゴールドマン・サックスは石油需要が復活すると考えており、2022年には1億250万バレル/日に達するとしている。これが本当なら、低調期である現在の投資不足が価格上昇をもたらす可能性がある。その場合、カナダとノースダコタ州の石油生産は、単に採算がとれるだけでなく、大いに価値あるものになるだろう。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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