「私たちにとっては正真正銘のチャンスだった。ゴッサム・グリーンズの短縮されたサプライチェーンが、従来のサプライチェーンの空白を埋めることになったからだ」。ゴッサム・グリーンズの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のビラージ・プーリー(Viraj Puri)はそう語る。
「それこそ、このビジネスを立ち上げた理由だ。従来のサプライチェーンは長すぎるうえに、あまりにも細分化されている。温度や湿度などの環境を調節した屋内農場をさまざまな地域に建設すれば、年間を通じて農産物を安定生産できる」
同社は、全米8カ所に屋内農場を持つ。ホールフーズ・マーケットの店舗屋上に設置されている農場もあり、いまや全米最大の屋内生産ネットワークだ。とはいえ、プーリーは現在、突如として注目が集まったこの業界で、過酷な競争に直面している。この業界にはここ3カ月だけで、投資家から10億ドルの資金がなだれ込んでいるのだ。
驚きの逆さ合併も発表された。屋内農場でトマトを生産するスタートアップのアップハーベスト(AppHarvest)は、初収穫もまだだというのに、有名料理研究家マーサ・スチュワートや、作家でベンチャーキャピタリストのJ・D・ヴァンスなどから支援を受けており、逆さ合併によって株式公開を予定している。取引は年内に始まる見通しだ。
ゴッサム・グリーンズのプーリーも株式公開を検討したが、非公開企業の状態を維持する決断を下し、代わりに8700万ドルを調達した。その内訳は、投資会社マンナ・ツリー(Manna Tree)が主導し、不動産開発企業シルバーマン・グループ(The Silverman Group)が参加したラウンドで投資家から集めた4200万ドルと、債券発行による4500万ドルだ。ゴッサム・グリーンズの資金調達額は、これで総額1億3000万ドルとなった。
「私たちの資本効率がきわめて高いのは、採算が取れる屋内農場を建設・運営してきた実績のたまものだ」とプーリーは述べ、業界で黒字を達成しているのはゴッサム・グリーンズだけだと指摘した。「高く評価されているからこそ、債券市場において競争力のある価格で機関投資家から資金を調達できる。信頼できるビジネスである証しだ」