予約順調も納得。贅沢さを凝縮して登場した、若い富裕層狙いの「新型ゴースト」

自らステアリングを握りたくなる、魅力凝縮の新型ゴースト


乗っている感じはというと、とても静か。いや、異次元の静粛性と言える。速度100km/hでも、聞こえるロードノイズと風切り音は微かだ。ロールスは、「同車はラインアップの中で最も贅沢でない車両だ」というけど、上質なレザー、ウッド、メタルをふんだんに採用しているし、まるで、超一流ホテルのスイート室の革張り家具と高級ヨットのキャビンを足して2で割ったような雰囲気だ。

いうまでもなく、超気持ちがいいし、ミリオネアになった気分だ。星空がキラキラ光る天井のスターライト・ヘッドライナーも付いているし、シャンパンを冷やす専用冷蔵庫にグラスも搭載。しかも、身長195cmの乗員でも、前席、後部席への乗り降りも楽チンだし、リアシートのレグルームやヘッドルームは余るぐらいゆったりした空間になっている。

室内の様子

後部座席の写真

エンジンはファントムから引き継ぐ6.75リットルのV型12気筒ツインターボエンジンで、571ps、850Nmのトルクを発揮。トルクは低回転域からジワジワと発生し、どんなシーンでも、0-100km/hは4.8秒という余裕のある加速感が目立ち、8速ATとの相性も良い。

運転している写真

フットワークはより若い客層向きということで、新技術が満載。新開発のプラナーサスペンションシステムは、フロントサスペンションに世界初のアッパーウィッシュボーンダンパーを採用する。その新しいエアサスペンションと一緒に連動して働くのは、前方の路面状況を読み取るステレオカメラ。

このカメラが、路面の細かい凸凹などを事前に判断してサスの減衰力を適度に調整して、先代よりもロールスロイスの有名な魔法のじゅうたんのような乗り心地をさらに進化させている。さらに、カリナンで初採用された4WDシステム、四輪操舵システムも搭載されたことで、ワインディングロードでも十分に楽しめるし、速度を上げた時のボディロールも自然で、突っ張りや抑え込みといった制御は感じない。

また、日本の狭い路地にもスイスイと入っていける。ただ全幅が2.1mもあるので、その部分はちゃんと頭に入れておかなければならないけどね。50対50の前後の重量配分のおかげで大きさを感じせないだけでなく、走りも重厚感あるし、ステアリングの手応えもちょうどいい。

後ろから見たゴースト

カリスマ感の溢れるゴーストの製造品質は最高級だし、完成度も高級感もとにかくトップクラス。より若い客層向きの「脱贅沢」とロールス側は言うけど、走り、乗り心地、機能性を進化させた技術満載であることは、そういう40代などの若手富裕層などを、3590万円というスタートプライスで掴めるか。国内外の事前予約はかなり入っているようなので、その答えはイエスのようだ。


連載:国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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