Close RECOMMEND

国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

自らステアリングを握りたくなる、魅力凝縮の新型ゴースト

ロールスロイス・ファントムが「バッキンハム宮殿」だとしたら、新型ゴーストは「ケンジントン宮殿」に例えられるだろう。

というのは、ファントムがロールスのフラッグシップであり、ラインナップの頂点、つまり、エリザベス女王がお住まいになるバッキンハム宮殿に当たるのに対し、新しいエントリーレベルのゴーストは、より若いオーナーをターゲットにしているので、ウイリアム王子が住うケンジントン宮殿に例えられるわけだ。

でも、ステータスと高級感が犠牲にされたかというと、決してそんなことはない。ニュー・ゴーストは、ロールス史上、最も「技術的に優れている」車両だと言える。今回は日本で開催された初のロールスロイス試乗会で、日光に行って乗ってきた。

先代ゴーストはロールスロイスの116年の歴史上、最も成功した革新的な車両だそうだ。英国・グッドウッドの工場では、夏までは新型コロナウイルスによる生産の縮小があったが、現在はフル稼働に移行したと広報部長のローズマリー・ミッチェル氏がコメントした。

「ファントムと違って、ゴーストは控えめでミニマルなスタイルのロールスロイスを求めていた事業家や起業家の間で人気を集めましたが、今回発表する新型ゴーストは、そのコンセプトをさらに凝縮させたものです」と語る。

運転席の様子

さらに凝縮させた──と言っても、ゴーストは十二分に高級感溢れるステータス車両だ。ゴーストの開発コンセプトは、「ポスト・オピュレンス。つまり脱・贅沢だ」とローズマリー氏。

「これはすでにファッションや建築などのデザイン分野で確立されており、純粋さとミニマリズムによって定義される。これは格好つけた表現ではなく、素材の本質的な価値を求める動きだ」と説明。この考えは、「職人技とシンプルさを旨とする日本の文化にも深く関連している」と、日本の顧客にアピールする。さすが、ロールスのデザイン哲学は深い。

でも、僕から見ると、デザインは先代より、かなりアグレッシブに変身したと感じる。先代よりも、グリルが拡大し、ヘッドライトの大きさも倍ほど大きくなったことで、全長5.5mで車重2.5トンもある新型ゴーストの存在感がさらに増した感じだ。美しいというより、力強いエレガンンスと表現した方が良いみたい。

アルミ製スペースフレームは「ファントム」「カリナン」などと同様のものを採用しているし、先代より受け継ぐ唯一の部品は、ボンネットのエムブレム「スピリット・オブ・エクスタシー」と、後ろのドアに収納するロールスロイス専用の傘だ。

ドアの話をすると、当然一番のデザインポイントは、さらに進化した「観音開きドア」。先代は、後部席内のボタンを押すとリアドアは閉まったけど、今度は室内側のドアハンドルを引っ張ることによって、リアのドアを開けることも可能になった。後部席を降りた後、外側のドアハンドルのボタンを押すと、ワンタッチでリアドアがゆっくりと閉まる。ドアが大きくて重いので、小柄な人は喜ぶはず。

サイドビューのショルダーラインとプロポーションは先代と同じで、仕事のある平日は運転手付きで使用したり、週末は自分でハンドルを握って運転するオーナーは多いだろうね。

ゴーストのドアを開いた様子

文=ピーター ライオン

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ