「私は私のチームに、今回の攻撃の精査を行うよう指示した」とバイデンは述べ、彼に助言を与えた担当者らを称賛した。
セキュリティ企業FireEyeの13日の発表によると、国家が操るハッカー集団がSolarWinds社のソフトウェアOrionの脆弱性を利用して、米国の様々な機関のネットワークに侵入したという。ハッカーらは、国土安全保障省や国防総省、財務省、国立衛生研究所などの機密情報にアクセス可能だったとされる。
バイデンは、今回の攻撃への対応を「最優先事項」とし、「政府全体のセキュリティを高め、民間部門との連携をさらに強化し、インフラへの投資を拡大する」と述べた。「私は次期大統領として、この事態に黙っていない」とバイデンは述べ、様々な証拠があるにも関わらず、事件への関与を否定するロシアに対し明確なシグナルを送った。
バイデンの声明は、今も選挙での敗北を認めないトランプが、事件について沈黙を貫くなかで出された。国土安全保障省(DHS)の傘下のインフラ安全保障局(CISA)は、今回の攻撃が連邦政府や州などに加え、民間セクターにも危害を与えかねないものだと警告した。
バイデンはまだ大統領に就任していないが、ロシアのプーチン大統領との間には、既に険悪なムードが漂っている。プーチンがバイデンを勝者として認めたのは、選挙から1ヶ月以上が経過した、12月14日のことだった。「私はあなたとの交流の準備が出来ている」とプーチンはバイデンに宛てたメッセージで述べ、「全ての成功」を祈ると述べた。
今回のサイバー攻撃は、トランプがCISAのクリス・クレブス長官を解雇してから1カ月足らずで発生した。CISAは「大統領が主張するような選挙での不正は確認できない」と宣言したが、トランプはこの声明が「非常に不正確なものだ」と非難し、クレブスを解雇していた。
トランプを非難する声は、共和党の内部からも高まっている。トランプが政権の移行を遅らせ、バイデンに機密情報へのアクセスを拒否したことで、国家の安全保障に壊滅的な影響が及ぶ可能性があると、政府関係者は警告している。
トランプ政権の初代の国土安全保障担当補佐官のトーマス・ボサートは、12月16日のニューヨーク・タイムズ(NYT)の論説記事で「トランプ大統領は、ロシア政府によって危険にさらされた連邦政府のセキュリティを放置している」と述べ、米国の主要な産業にも被害が及ぶ可能性を示唆した。
ボサートは、トランプに対し、「選挙結果にこだわるのをやめ、米国を守り、ロシア人を厳しく処罰する」よう求めた。一方でバイデンに対しては、危機への対応を開始するよう促した。