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2020.12.21 07:00

「捨てる」ことに躊躇しない。その原点は、高校時代の成功体験にあった

Visionalグループ代表取締役社長 南壮一郎氏

Visionalグループ代表取締役社長 南壮一郎氏

2020年2月3日、南壮一郎氏は自身が創業したビズリーチの経営から完全に身を引き、ホールディングカンパニーであるビジョナルの代表に就任。新しいグループの名を「Visional」とした。「ビズリーチホールディングス」ではないのかと驚いた人もいるのではないだろうか。

なぜ「ビズリーチ」の名前を捨て、新たな名前を付けたのか。その理由に迫った。

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変わり続けるために「ビズリーチ」の名前を捨てた


「即戦力じゃないか!こんな人材どこで?」「ビズリーチ!」──このTVCMを見たことのある人は多いだろう。ブランディングの観点で考えれば、認知度の高いビズリーチの名前を冠したほうがいいはずだ。Visionalグループと名付けた理由について、南氏は「散々迷った」と語る。

「短期的なブランディングを考えれば『ビズリーチホールディングス』が合理的。ブランド=信頼と考えているので、そう簡単につくれるものではありません。10年育ててきたブランドをキープするのか、捨てるのか。1年くらい悩みました。

人は目の前のことだけを考えたら、捨てられない。未来を見て捨てるんです。だから会社の名前も、未来を見て決めたかった。その前提で自分たちがなりたい姿は何かを考えました。

僕たちの中心には、社会課題を解決し続けることで、大きなインパクトを与え続けたいという思いがあった。だからビズリーチの名前を捨て、グループのミッションも『新しい可能性を、次々と。』にしました」

ビズリーチの経営から離れるのは、「相当インパクトがあった」という南氏。しかし現在の経営チームは「自分が経営するより、よほど成果が上げられると心から信じている」という。

だから何も不安がない、むしろ感謝している。新たな経営チームがどのような会社を作るのか──。それが創業マネジメントチームの本当の成果だと笑顔を見せる。

「創業者の役割に正解も不正解もありません。あくまで自分がどのような経営者になりたいかが重要だと思うんです。社名は会社としての中長期的なミッション、ビジョンを象徴するもの。だから変わり続けるために、10年の節目でビズリーチの名前は捨てたんです。

10年後、Visionalが全く想像もできないようなグループになっていることが、このグループのあるべき姿だと思っています。『Visionalって転職サイトから始まったんですね』って言われたら──そう考えると今からワクワクするんです」

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キャリアのサバイバル時代には「Unlearn」が不可欠


これまでの日本では、いわゆる「積み上げ型」のキャリアが重視されてきた。しかしキャリアのサバイバル時代に突入しつつある今、「Unlearn(学んだことを忘れる、捨て去る)」の重要性はますます増している。

「最近ビジネスモデルの賞味期限はどんどん短くなってきていると思いませんか? それに伴って、個人の実績の賞味期限も短くなっています。直近の実績も大切ですが、新しい実績をつくるために未来に投資し、変わり続けなければ生き残っていけない時代になりつつあるんです。

そのためのキーワードが『Unlearn』です。経験や実績をUnlearningしていかなければ、新しくLearnできません。変わり続けることが最優先なのであれば、学び続けなければならない。学び続ける=『Unlearning』と『Learning』をセットで行う必要があると考えています」
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文=筒井智子

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