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DX JAPAN代表 植野大輔氏

組織をトランスフォーメーションするのに必要な要素とは。近年、企業変革に成功したグローバルカンパニー2社の事例を、日本企業のDXを手がける植野大輔氏(DX JAPAN代表)に聞いた。

ネットフリックスの文化が、変革の人材を招き続ける


2020年1月に亡くなったハーバード・ビジネス・スクール(HBS)のクレイトン・クリステンセン教授(『イノベーションのジレンマ』著者)が共同設立した米イノサイト社は、毎年「トランスフォーメーション20」というレポートを発表しています。企業変革に成功したグローバルカンパニーを選ぶ内容ですが、最新ランキング1位がネットフリックスです。

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ネットフリックスは今日までに何度もトランスフォーメーションを果たしてきました。1997年の創業時はオンラインで申し込んだDVDを郵送するレンタルサービスから始まりました。

そこから、顧客体験を重視することを貫き、今のネットフリックスへと変革しているのですが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。2000年には、会員の視聴履歴や独自アルゴリズムからおすすめ作品をレコメンドする機能を導入しています。このころ、ネットフリックスはレンタルビデオ店チェーン最大手のブロックバスターに事業売却を持ちかけましたが、実現しませんでした。

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ネットフリックスのリード・ヘイスティングス共同CEO。米海兵隊士官学校に入学後、米政府の平和部隊からアフリカ・スワジランドに派遣され、高校の数学教師として過ごす。帰国後は人工知能の研究で修士号を取得、IT企業への勤務を経てソフトウェアの開発会社を起こした。企業買収でマーク・ランドルフと出会い、ネットフリックスを1997年に共同創業。2017年の長者番付「フォーブス400」にランクイン。

ナスダック上場や共同創業者マーク・ランドルフの退社を経て、07年にVOD(ビデオ・オン・デマンド)のストリーミング配信サービスを導入。翌年からテレビにつなぐセットトップボックスや各種ゲーム機、アップル製品への配信に対応していきました。徐々に事業転換を図る意味でここまではいいのですが、その先が性急でした。

11年にDVDレンタルサービスを切り離し、別会社にしようとしました。ネットフリックスというブランドは、もうストリーミングだけだと。これに反発して解約者が続出。同時に値上げした影響などで数十万の会員を失い、株価は5分の1になりました。この判断はネットフリックスにおける最大の失敗だったとCEOのリード・ヘイスティングスが語っています。

しかし、そこから巻き返しました。世界中でコンテンツを調達し、課金システムもグローバル対応を進めています。異なる端末や国境を飛び越えられたのも、UI(ユーザーインタフェース)やUX(顧客体験)が秀逸だった点が挙げられます。

13年から自前で制作した質の高いコンテンツを配信するようになり、高い評価を受けるようになっていった。ローカライズも各国で行い、日本オリジナルの映像もたくさん配信されています。そうやって10年足らずでストリーミングの覇権を握りました。

構成・文=神吉 弘邦

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