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恒常的な人手不足に陥っている日本社会。未来へ向かうほど減少する労働人口。

そのソリューションと目されているのはロボット技術だ。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を取り込んだ「派遣2.0」を提案し、人材活用のあり方そのものを変革しているアウトソーシングテクノロジー(以下、OSTech)の代表取締役社長 茂手木雅樹が、異なる方向からロボティクスにアプローチするスタートアップ企業2社と対話した。

対談相手は、OSTechがスポンサードした「Forbes JAPAN RISING STAR AWARD 2020」で入賞した“収穫ロボット”で農業の課題を解決するAGRISTの取締役COO 高橋慶彦。さらにもう1社、2020年1月にOSTech傘下に加わったロボット開発・販売企業・スマートロボティクス(以下、SR)から、取締役COO 井島剛志と取締役CTO 服部秀男の2名が参加。

ロボット導入とヒトの共創が織りなす理想の未来について、それぞれの立場から語り合った。


「収穫ロボット」で農業の未来を切り開くAGRIST


高橋慶彦(以下、高橋):「RISING STAR AWARD 2020」受賞は非常に光栄です。今回の受賞で、「収穫ロボット」を社会実装することで描ける未来を、より多くの人に知ってもらうことができました。
AGRISTは2019年10月に創業した若い会社で、これほどスピーディーに注目を集めることができたのは、とても幸運なことだと思います。そしてそれは、協力してくれた農家の方々、開発したエンジニア、株主様を含めた支援者の皆様のおかげだと思っています。大変感謝しています。

茂手木雅樹(以下、茂手木):OSTechはもともとブルーカラーの人材派遣から始まった企業です。時代に適合するため、近年は“働くで「みらい」をデザインする”をテーマに、テクノロジー・ソリューションを提供する、イノベーション支援企業へと生まれ変わりました。

そのなかで、特に貢献したいと考えている分野は「ヒトが足りなくて困っている領域」です。現在、さまざまな産業にRPAを含む自動化提案「派遣2.0」を行っています。
農業も、日本の産業の根幹を担っていながら、海外実習生も含めても、なり手が少ないという社会課題を抱えている分野です。OSTechでもSR社と共に「トマト自動収穫ロボット」を開発していますので、別軸で具体策を提示しているAGRISTには大きな共感を覚えました。

AGRISTのアプローチは、収穫ロボットによるエコシステム構築と事業化です。同社が行っている「スマート農業」は、国のスマート農業実証プロジェクトの認定も受けています。OSTechは、常日頃から新規事業創出のスタートアップに機動性は不可欠と考えていますので、投資先としての魅力も大いに感じました。

高橋:ありがとうございます。現在、農業では、賃金が安く、ビニールハウスの中は暑いなどのマイナスイメージがつきまとい、収穫するパートが集まりにくい産業です。せっかくの収穫適期でも、ヒトを確保できないことから、収益率が下がりつつあるなどの危機的状況に直面しています。結果、農家自らが「もうロボットしかない!」という結論に達しているほど、逼迫しているのです。


アウトソーシングテクノロジー 代表取締役社長 茂手木雅樹

茂手木:収穫のような、単純作業できつい仕事をロボットでリプレイスする、その考え方は私たちも同様ですが、具体的にAGRISTの展開する事業はどのように成り立っているのですか?

高橋:農家に収穫ロボットを初期導入費+利用手数料(従量課金制)でレンタルするという形をとっています。いまは導入コストをどこまで下げられるかが重要ですね。ただ一方で、ロボットを扱えるエンジニアが少ないという課題があり、エンジニア人材の採用面で悩んでいる状態です。


AGRIST 取締役COO 高橋慶彦

OSTechの力を得て、全国規模のサービス提供を可能にしたスマートロボティクス


井島剛志(以下、井島):私たちSRは、建設などのインフラ事業、高齢化の進行により破綻が予想される現場の業務に活用可能なロボット・ドローン・IoT機器を提供するサービスを展開しています。しかし事業が軌道に乗り、販路が全国に拡大していくにつれ、一社にできることには限りがあると気づきました。

そこで、さらにビジネスを加速させるために、OSTech様と合流させていただきました。それにより全国的なサポートネットワークが構築でき、より多くの人にロボット技術を提供しやすくなりました。

服部秀男(以下、服部):私たちもリアルテックエンジニアの不足は感じていたところです。さらに、ロボットを各現場にどのように導入したらよいかを考える人材も、必要になってきています。

茂手木:DX推進やRPA積極導入などで、求められる人材の特徴が変わってきている面がありますね。OSTechには現在18,000名のエンジニアが在籍していますが、そうしたAGRISTおよびSRの需要に対応できる人材の数は多くないですね。

ソフトウェアエンジニアに関しては、すでに自社で運営する「KENスクール」で教育・再教育・育成が可能になっています。しかしリアルテックエンジニア教育に関してはまだ未着手です。来年には、“デジタル技術で課題解決をする知識に特化したスクール”として生まれ変わる予定なので、カリキュラム等を工夫して対応できるようにしていきたいですね。この18,000名を生かすことができれば、きっと社会を大きく変えるきっかけになるはずです。


スマートロボティクス 取締役COO 井島剛志


スマートロボティクス 取締役CTO 服部秀男

ヒトの不足部分を補うのがロボット けっして人類の敵ではない


高橋:ピッチイベントで登壇すると時々、「ロボットが地域の仕事を奪ってしまうのではないか」と危惧されることがあります。それはまったくの間違いで、いまの人手が足りていない部分を補うのがロボットなのです。ヒト+ロボットが協働することで、持続可能な農業が営める。それが理想なのですね。

ロボットはヒトを幸せにするためのツールでしかありません。人手不足が深刻化する農業において、ロボットは決してヒトから一方的に仕事を奪う存在ではないのです。

服部:その通りです。ともに生きていく共生的な存在と思ってほしいですね。実際の導入現場を訪れるとわかるのですが、はじめはロボットに否定的な反応を示していた人々も、共に働き、業務を助けていくと、「うちの子がね…」と親しみを込めて語るようになることが多いです。これは仲間として認めはじめている証拠ではないでしょうか。

高橋:大前提はツール。しかし、そのうち我が子やパートナーのような存在に進化する可能性を秘めているとも言えますね。

茂手木:ヒトとロボットが共創して未来を築く。そうなると改めて、未来の職場に適した人材教育が大切になってきますね。

ロボットと共創する理想にあふれた社会へとシフトするために


茂手木:将来を考えれば、若い世代も必要になってくると思うのですが、そのための対策はとっていらっしゃいますか。 

高橋:スマート農業にシフトすることができれば、農業は現役世代だけでなく、これからの若い世代にも魅力的な職種、自分らしく働けるしごととなっていくはずです。自動で24時間365日稼働するロボットが、農家さんが寝ていても収穫してくれるという状態を構築すると、ヒトがいまよりもクリエイティブなことに時間を掛けられるようになります。

服部:私たちはよく、高専(高等専門学校)在籍で、「ロボコン(全国高等専門学校ロボットコンテスト)」参加者をスカウトすることが多いのですが、その絶対数が少ないことが残念ですね。

高専に入る以前の中学生の段階でサポートすることができれば、母集団は確実に増えるはずです。早く始めれば始めるほど、優秀になる可能性も増えますから。

茂手木:なるほど、人材開発の点からも興味深い話です。それはぜひ課題としてアプローチしていきたいですね。

高橋:それこそ小学生からでもよいと思います。そうした若い世代のサポートという面では、AGRISTは「農業ロボコン」を主催したいと考えています。

茂手木:ヒトとロボットが共創する新しい時代、ロボットをより効果的に活用できる人材が必要だということを再認識しました。若い世代へのアプローチ方法を、OSTechのノウハウで生み出すことができれば、働き方の変化をますます革新することができそうです。



アウトソーシングテクノロジー
https://www.ostechnology.co.jp/


茂手木雅樹◎2004年から数々の会社を立ち上げつつ、12年にアウトソーシンググループに参画、14年にアウトソーシングテクノロジー代表取締役に就任、業態変革を図る。

高橋慶彦◎シリコンバレーでデザインを学び、広告代理店設立。空き家再生などを事業化し、宮崎県新富町へ移住。農業課題を解決するAGRISTを共同設立、取締役COOに就任。

井島剛志◎小学生の頃よりプログラミングに親しみ、商社系情報システム部門の立ち上げ、FA系でのPC-GUI開発、WEBサイト開発などを経てスマートロボティクス 取締役COOに就任。

服部秀男◎幼少期からロボット製作にのめり込み、RoboCup世界大会出場。在学時からEC事業立ち上げ。FA装置開発企業を経てJapanRobotSchool設立。カリキュラム開発、ロボット開発事業を経て2016年よりスマートロボティクス立ち上げ 取締役CTOに就任。



▼Forbes JAPAN x アウトソーシングテクノロジー 特集「PEOPLE x TECHNOLOGY」


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#2公開中|「信頼」と「人材の流動性」がゲームチェンジのキーワード。アウトソーシングテクノロジーの支援策がスタートアップにも有効な理由
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