フォーブスは、Pop Martの創業者で現在33歳のワン・ニン(王寧)の保有資産をIPO直前の段階で32億ドル(約3320億円)と試算していたが、彼の資産はさらに増加したことになる。
ポップマートは、「盲盒(ブラインドボックス)」と呼ばれる中身が見えないカプセルに入ったフィギュアを、約8ドルで販売することで新たな市場を開拓した。
中国の若い消費者をポップマートの今年上半期の売上は前年同期比51%増の8億1780万元(約1億2500万ドル)で、純利益は前年同期比24%増の1億4130万元だった。ポップマートは新型コロナウイルスの影響で一部の店舗を閉鎖しつつも、売上を増大させた。
創業者のワンは、日本を訪れた際にガチャガチャと呼ばれるカプセル入り玩具からインスピレーションを得て、現在のプロダクトのベースとなるコンセプトを生み出した。自社のオリジナルのフィギュアを販売しようと思い立った彼は、香港を拠点に活躍するクリエーターのKenny Wongにコンタクトをとり、自社製品を開発した。
その後、市場に投入したMollyと呼ばれるフィギュアは今でも売上の13.7%を占めている。
ポップマートはオンラインとオフラインの両方でプロダクトを販売しており、現在は33都市に136店舗を展開中だが、2022年末までに中国国内に183店舗を新たにオープンする。さらに、今後の2年以内に1800のブラインドボックスの自動販売機を、追加で設置する計画だ。
一方で、韓国や日本、シンガポールなどの海外市場も視野に入れており、2022年までに海外で100の小売店および1000の自動販売機の設置を目指している。
鄭州大学で広告ビジネスを学んだワンは、2009年に中国版ツイッターと呼ばれるウェイボーの運営元の新浪(SINA)に就職した。そして、香港に旅行中に立ち寄った雑貨チェーン店「LOG-ON」で起業を思い立ち、1年ほどで退職して自分のビジネスを立ち上げたという。
ワンは2010年に北京のテック企業の集積地として知られる中関村の近くのショッピングモールに最初のストアをオープンした。初期段階では化粧品や文具など、多様な商品を扱っていたが、その後、フィギュアに専念したことが後の成功につながったと、ワンは述べている。
「しばらくビジネスを続けるうちに、フィギュアが最も売れ筋のアイテムであることに気づいた。その後は、他のカテゴリの商品を減らし、2014年からフィギュアを専門に扱うようになった」と、ワンは今年7月のフォーブスの取材で述べていた。