今年5月には、アマゾンが映画館チェーンのAMCを買収するのではないかといううわさが流れた。買収が実現すれば、アマゾンはオリジナル作品をアカデミー賞などの主要賞レースや映画祭へ出品することが容易になる。
一方で、劇場での映画鑑賞をバーチャル化し、友だちと一緒に映画館へ出かける体験が再現できる「ビッグスクリーン」などのサービスも登場した。これは、バーチャルな環境とソーシャルな体験を組み合わせて他の人と何かを共有できる場である「メタバース」の一種だ。
環境の変化により客が従来の行動にこだわらなくなり、その状況が1年以上続くなら、事業の先行きは暗い。今回の場合、その事業とは映画館だ。今後は以前よりも多くのコンテンツが鑑賞されるのは間違いないが、その場所は映画館ではない。それに匹敵するような体験を提供する新技術を使って、たとえばVRゴーグルをかけて自宅のソファに座り、電子レンジで作ったポップコーンを食べながら鑑賞するのだ。これは、従来型の映画館の終焉となるのだろうか?