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AMC(Photo by Noam Galai/Getty Images)

新型コロナウイルスの流行に伴うロックダウン(都市封鎖)の余波に見舞われた映画館が今後、相次いで廃業に追い込まれる恐れが出ている。米映画大手ワーナーが、米国で来年から自社の配給する映画を劇場と同社のストリーミングサービス「HBOマックス」で同時公開すると発表したためだ。この決定により、劇場公開期間は事実上消滅する。

ワーナーの発表に先立ち、同じく映画大手のユニバーサルは映画館チェーンのシネマークと劇場公開期間に関する新たな契約を結んだことを公表した。従来は3カ月としていた同期間をわずか17日間に短縮する内容だ。

これは映画館の終焉を意味するものではなく、映画会社が2021年の業績を改善するための手段にすぎないとする声もあるが、多くのメディアは既に劇場での映画体験が終わりを迎えると書き立てている。いずれにせよ、映画館では密閉空間で2時間過ごすこととなるため、現在の状況ではたとえマスクを着用するとしても映画鑑賞に出かけたい人は少ない。

コロナ禍に伴うロックダウンなどの対策により、映画館チェーンの多くは赤字に苦しみ、廃業の危機に直面している。人々が自由に映画館へ行ける状況になった時に、肝心の映画館が存在しているかは疑問だ。映画会社が莫大な予算をかけた作品から収益を上げるには、作品を世界中の映画館で一斉に上映するビジネスモデルが必要となるが、それは当面の間不可能だ。

意外かもしれないが、ストリーミング配信などのオンラインサービスは映画館の衰退とはあまり関係がない。ネットフリックスなどの配信サービスの定期利用者は自宅で作品を鑑賞する頻度が高いだけでなく、映画館も多く利用する傾向にあることが数々の調査から示されている。

さらに米国では1940年代から反トラスト法(独占禁止法)により、映画会社による映画館会社の買収が禁じられていることもあり、ネットフリックスやアマゾンをはじめとするストリーミングサービスが増え続ける作品の上映先として映画館チェーンを買収するのではないかという臆測も生まれた。だが米司法省は昨年11月、複雑化する業界の状況とストリーミング会社など新たな業態の出現に対応し、この規則を改正する方針を表明した。

編集=遠藤宗生

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