日本版ゲッティが「今年の写真」を発表 激動の2020年を振り返る


コロナごみ
1209223832, should read Andrey Nekrasov_Barcroft Media_Getty Images

4月4日ウクライナの様子。新型コロナウイルスの影響で世界的にマスクが使用されるようになり、街中ではマスクごみが見られるようになった。街中にとどまらず、海や川でもマスクや手袋、消毒用アルコール容器のごみが目立つようになったという。

不職布マスクなど、これらのごみはマイクロプラスチックとなり、生態系を破壊する問題に繋がるとして大きな懸念事項となっている。他の生態系への影響だけではない。正しく廃棄されないマスクはウイルスの媒介となり、さらには大量の使い捨てマスクの焼却は、さらなる環境汚染の原因となる。

こうした問題に対し、カナダのブリティッシュコロンビア大学では、生分解性の医療用マスクが開発されたり、日本でも環境に優しい素材を使用したマスクの開発が進むなど、抗ウイルス対策だけでなくサステナブルな製品の開発が行われている。コロナ禍で改めて「使い捨てない」、すなわち「持続可能な」未来に向けた意識が高まったのではないだろうか。

エンターテインメントの力、バーチャルの存在感


OneWorld
1219652399,Getty Images_Getty Images for Global Citizen

4月18日、レディー・ガガが発起人となり、WHOと慈善団体Global Citizenが主催したバーチャルコンサート「One World:Together At Home」が開催された。このバーチャルコンサートは前線で活動を行う医療従事者を称え、支援することを目的に、アメリカから全世界に向けて8時間にわたり配信が行われた。

ビリー・アイリッシュやテイラー・スウィフトから、ローリング・ストーンズ、ポール・マッカートニーら大御所まで豪華な顔ぶれが演奏を行ったほか、医療従事者やその家族の体験に迫った特集が放送され、約138億円の寄付金が集まった。寄付金はWHO下の基金や、各地のチャリティ団体に送られるという。国境を超えたエンターテインメントの力が再確認された年であっただろう。

パリコレ
1277627650,Pascal Le Segretain_Getty Images

9月30日、パリコレの様子。BALMAINのショーのフロントロウには、豪華ゲストがデジタルスクリーン越しに並んだ。仏オートクチュール・プレタポルテ連合協会は今年の2021年春夏パリウィメンズファッションウィーク(通称パリコレ)を例年通りの日程で開催。各ブランドはリアルとデジタルを組み合わせた演出を行った。

一方、パンデミックを機に、これまでの慣習について考え直すブランドもあった。サンローランは、今年参加を予定していたパリコレを含む全てのショーをキャンセル。従来のコレクションスケジュールを見直すことも検討しているという。

スポーツ界にも求められた「ニューノーマル」


マンC対リヴァプール
1253923293, Laurence Griffiths_Getty Images

7月2日、イギリスマンチェスターで行われたプレミアリーグ、マンチェスターシティ対リヴァプールFC戦の様子。会場のスクリーンに映し出されたサポーターたちは、自宅からリモートで選手を応援している。

コロナ禍のスポーツ界では、「無観客試合」がニューノーマルとなったが、チームの運営者たちは少しでもサポーターとの繋がりをつくり、チームの収入源を創出すべく工夫を凝らしている。

英BBCの報道によると、当初10月をめどに検討されていたサッカーをはじめとするプロスポーツの一般客の観戦は、来年3月一杯まで延期される見通しとなった。しかしこの決定は運営側にとって甚大な収入源の損失を意味する。プロスポーツ界にも、柔軟な解決策が求められている。

NIKE
1217997897,Lars Baron_Bongarts_Getty Images

4月9日、ドイツのケルンでフェンシングの練習をするAlexandora Ndolo選手。彼女は通常コーチやチームメイトと共に練習を行うが、ロックダウンにより手作りの人形と共に自宅での練習を余儀なくされた。

全世界が新型コロナウイルスという未知の脅威にさらされた2020年。コロナ禍で新たに見えた課題がある一方で、元よりあった身近な存在や世界的な課題についてより深く考え直す、立ち返りの年でもあったかもしれない。2021年は、どんな年になるだろうか。

文=河村優

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