世界で写真や映像のライセンスビジネスを展開する「ゲッティイメージズ ジャパン」は、2020年を報道写真で振り返る「Year in Review by Getty Images」を発表した。
今年に撮影された7700万枚以上(11月末時点)の報道写真のなかから、2020年を特に象徴する写真で「激動の1年」を振り返ってみたい。
新型コロナウイルスによって変わった世界
昨年12月に新型コロナウイルスの感染者が確認されてから、早一年。世界がこのような未曾有の事態に陥ることを、誰が予想できただろうか。
まずは今春の世界経済の中心地ニューヨークと、最初の発症が確認された中国・武漢の工場の様子だ。人気がない街の姿や、人と人の間の距離をあける「ソーシャルディスタンス」など新たな風景が生まれた。
1220947106,Arturo Holmes_Getty Images
「世界の交差点」とも呼ばれるタイムズスクエアは、国内外から観光客が訪れる世界一有名な観光スポットと言っても過言ではないだろう。ニューヨーク市は昨年6600万人の国内外からの観光客数を記録し、過去最多を更新したが、今年はその3分の1程度の来訪者数にとどまるといわれている。
写真は4月24日、人気のないタイムズスクエアでサクソフォンを演奏する男性。人や車がひしめき合う普段の様子とあまりにかけ離れた光景に、世界が驚いた。
1214503064,Getty Images_Getty Images
3月24日、中国湖北省武漢市の工場にて、昼食をとる従業員たち。2mの距離を空け、対面しないよう同じ方向を向いていることがわかる。
高まる環境問題意識
1209107323,Pardeep Pandit_H industan Times
「世界最悪レベル」と評される深刻な大気汚染問題を抱えるインドだが、ロックダウンにより交通機関や産業が停止したことで、短期間で劇的な環境改善が見られたという。
写真は4月3日、インド北部のパンジャーブ州、ジャランダルの風景。町からおよそ200km先のヒマラヤ山脈の一部が見渡せるようになり、SNS上で話題となった。インド以外でも米ロサンゼルスではPM2.5の平均濃度が前年比31%減少、中国でも全国337都市のPM2.5平均濃度が前年比14.8%減少するなど、世界各地で同様の事例が報告された。
しかし、この傾向は一時的なものだったとの見方もあり、インドの首都ニューデリーでは毎年秋から冬にかけて悪化する大気汚染が、今年も深刻化している。新型コロナ対策である換気を十分に行えず、さらに大気汚染による肺の疾患が新型コロナ感染症を重症化させるなど、環境問題と感染症の問題は切り離せない。人類と環境の向き合い方は、ウィズコロナの時代でも引き続き課題となりそうだ。