ビジネス

2020.12.16

エアビー株急落で市場に不透明感、IPOを1月に延期する企業も

左からジョー・ゲビア、ネイサン・ブレチャージク、ブライアン・チェスキー(Photo by Stefanie Keenan/Getty Images for Airbnb)

エアビーアンドビーの株価は、12月10日のIPO当日の最高値から25%も急落しており、アナリストは今後さらに低迷する可能性があると警告している。

14日月曜日に弱気な見通しが広がったのを受けて、エアビーアンドビーの株価は15日に5%下落し、124ドル付近での取引となった。これは、IPO当日につけた最高値の165ドルを25%も下回る水準だ。

エアビーアンドビーの3人の共同創業者、ブライアン・チェスキーとネイサン・ブレチャージク、ジョー・ゲビアらの保有資産は、先週木曜日の終値から、合計で50億ドル分の急落となった。フォーブスは、CEOのチェスキーの保有資産が現在95億ドル(約9850億円)、ブレチャージクとゲビアらの保有資産がそれぞれ85億ドルと試算している。

金融調査会社ゴードン・ハスケットは14日、エアビーアンドビー株の投資判断を5段階評価で最下位の「売り」に引き下げた。同社は、IPO後のエアビーアンドビーのバリエーションが、今後の売上予想との比較で許容できない水準にまで急騰していると指摘した。

潜在的な収益と比較したエアビーアンドビーの評価額は、エクスペディアやBooking.comなどのオンライン旅行会社の平均よりも3倍以上高い、とゴードン・ハスケットは指摘し、目標株価を103ドルとした。

ウォールストリートも、エアビーアンドビーの現在の価格水準に対して弱気だ。同社をカバーしている3人のアナリストの目標株価の平均は96ドルで、現状の株価から約25%低い水準となっている。

「当社が聞き取り調査を行った投資家の大多数が、現状のエアビーアンドビーの株価が過大評価だと述べ、利益確定に興味を示していた」と、ゴードン・ハスケットはレポートで述べた。

フィンテックAffirmはIPOを1月に延期


エアビーアンドビー株はIPO当日に120%も急上昇し、時価総額は4月の資金調達時の評価額180億ドルの5倍以上に上昇した。同社はIPOで約35億ドルを調達したが、この額は先日ドアダッシュが調達した34億ドルを上回り、2020年のIPOで3番目の規模となった。ドアダッシュの株価も12月9日以降に、20%近く下落している。

エアビーアンドビーの時価総額は、10日のピーク時には1030億ドル(約10.7兆円)に達していた。これは、米国の全ての上場ホテルチェーンの時価総額の合計を上回る金額だったが、現在は730億ドル(約7.6兆円)にまで縮小した。

フィンテック企業のAffirmは12日、年内に予定していたIPOを1月に延期すると通達した。関係筋によると、同社はエアビーアンドビーやドアダッシュの株価の極端な急騰ぶりを、市場の不確定要素の高まりと捉えたようだ。ゲーム会社のRobloxも、同様の理由から来年の初めにIPOを延期する模様だ。

編集=上田裕資

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