パンデミックと違ってワクチンで解決できるものではなく、壊滅的な影響を及ぼし始める前に積極的に問題解決に向けて取り組む必要があります。後手後手に回っていては、手遅れになってしまいかねません。
ですので、この差し迫った脅威を前に、菅政権が気候変動対策に本格的に取り組もうとしている様子には個人的にとても好感が持てます。今年の10月、菅首相はEUの掲げる目標に合わせて日本でも「温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする」と宣言しました。また、先々週の金曜日には環境対策関連の開発支援として2兆円の基金を創設することを表明しました。
日本は現在、温室効果ガスの排出量が世界で5番目に多い国で、同時に世界で3番目に経済規模が大きい国でもあります。つまり、地球の環境を守る上で日本の気候変動対策は欠かせないものであり、日本が他国のお手本となるような成功をすることは極めて重要な一歩となるでしょう。
しかし、菅政権が目標とする2050年の基準値の達成は決して容易ではありません。2011年の東日本大震災をきっかけに、日本の電源構成はカーボンフリーな原子力から石炭へとシフトし、全体の30%を占めるほどまでに増加しました。
今後は新しいエネルギー源やエネルギー貯蔵方法を見つけることが先決となり、さらに建設や輸送、製造業界などで新たなイノベーションの促進と導入を進める必要もあると考えられます。
Coralが掲げるバリューの1つに、「良いことをして、良い結果を出す」というのがあります。私たちはLP投資家にとって高いリターンを実現することをビジネスの目標としていますが、同時に投資活動を通じて社会全体に大きなプラスの変化をもたらしたいと考えています。
この両方の目標を達成するためには、必然的に気候変動問題も意識する必要があり、Coralにとっても取り組むべき重要な課題なのです。
しかし、実際のところ、ベンチャーキャピタルとクリーンテックは従来からあまり相性が良くありません。
Kleiner Perkinsというシリコンバレーで著名なVCが、2000年代初頭にクリーンテックへの大型投資で大失敗したことは、業界でも過去事例としてよく研究されていて有名です。
クリーンテックは多額かつ長期にわたる投資を必要とし、科学技術面でも多くの課題があるなど、ハードルが高い分野なのですが、2005年から2011年にかけてのクリーンテック・ブームでは多くの人がそれらを過小評価していたのです。