『The Splendid and the Vile: A Saga of Churchill, Family, and Defiance During the Blitz(仮訳:栄光と堕落──ロンドン空襲時のチャーチルと家族、抵抗の物語』(エリック・ラーソン著)
1940〜41年のイングランドを扱った歴史書で、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツが連夜行ったロンドン空爆を主要なテーマとしている。ゲイツは、本書の内容はパンデミックと関連したものではないものの、当時、地下室で身を寄せ合って爆撃を耐え忍んだ英国人の避難生活と、新型コロナウイルスの流行の影響で今年、ほとんどの人が経験した隔離生活には通じるものがあるとコメントしている。
『The Spy and the Traitor: The Greatest Espionage Story of the Cold War(邦訳:KGBの男──冷戦史上最大の二重スパイ)』(ベン・マッキンタイアー著)
英国の二重スパイになったKGBの将校、オレーク・ゴルジエフスキーが、1983年にソ連が米国に仕掛けようとした核戦争をどう阻止したかを描いた本で、「お気に入りのスパイ小説に引けをとらないほどエキサイティング」(ゲイツ)。ゲイツは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を育てた職業文化を理解するのにも役立つと評価している。
『Breath From Salt: A Deadly Genetic Disease, a New Era in Science, and the Patients and Families Who Changed Medicine(仮訳:塩からの息──致死的な遺伝病、科学の新時代、そして医学を変えた患者と家族)』(ビジャル・P・トリヴェディ著)
嚢胞性線維症の歴史を扱った本書は、科学のイノベーションがどのように医学のブレークスルーにつながっているかを描き出しており、ゲイツにとって「本当に励みになる」ものだったという。
この病気との闘いには、じつはゲイツ自身の慈善活動もかかわっている。1999年、ゲイツはマイクロソフトの同僚から嚢胞性線維症の新薬開発への投資をもちかけられる。その同僚の子ども2人はこの病気を患っており、残された時間はあまりなかった。ゲイツは2000万ドルの出資を約束し、それは非常に効果の高い3つの薬の開発として実を結ぶことになる。ゲイツは、薬が役に立った家族のことを直接知っているだけに、本書の話は「とくに感慨深い」と記している。